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2014/03/05

ウルトラマンA番宣「君こそエースだ ウルトラマンAの魅力」

 いよいよWOWOWで、3月21日から「ウルトラマンA ハイビジョンリマスター版」の放映が始まる。
 これに先立って、宣伝番組「君こそエースだ ウルトラマンAの魅力」を見たのだが、正直、大変な危機感を覚えた。 


 本来、題名どおり、ウルトラマンAの魅力を伝えるための番組であるはずなのに、全然その魅力を語っていない。いや、正確に言うと、ゲストの高峰圭二氏は、間違いなく、正しくウルトラマンAの魅力を語っているのだが、その前に流れる映像ナレーションが、全く見当違いのことを言っているのだ。


 ウルトラマンAの魅力は、その「絶対的な強さ」である。


 初代ウルトラマンが終わった後、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマンと続く、「人間的で弱いウルトラマン」に、初代ウルトラマンのファンは正直げんなりしていた


 そこへ現れた、男女合体により人格を持たない、つまり人間的に悩み苦しむことのない、まるで弥勒菩薩のような風貌の、そして、今までの怪獣よりはるかに強い「超獣」を、目も覚めるような光線武器であっさりと倒す「絶対的に強いウルトラマン」の登場は、これこそ「本当に初代ウルトラマンが帰ってきた」という感激であり、そしてそれこそが、ウルトラマンAの真の魅力なのである。

 ※ただしウルトラマンAがすばらしいのは前半の2クールのみ。これについては後述。


 SFや特撮というものは、それを見ている間、日常の世界をすっかり忘れて、その世界に没入できるもの。だからこそ、それを見終わった後、すっきりとした気持ちで、明日の仕事に出かける元気がわいてくる、というものだ。

 それを、特撮の中で、人間的な悩みや苦しみ、わずらわしさを描かれたら、人間はどこに救いを求めるのか。


 それはちょうど、飲み屋で隣のおっさんが演歌を歌っているようなもので、「俺はつらい、悲しい~」と歌って、あんたは何が楽しいのか。そういう現実世界の辛い事や悲しいことを忘れようとして酒を飲みに来ているのに、なんであんたはここでそれを思い出させるのか。


 
 飲み屋と言えば、こんな思い出がある。マスターが、私が特撮好きだという話をしたので、隣の男が話しかけてきた。「ウルトラセブンがいいですな。」
 そこで私は、私はウルトラセブンはどちらかと言えばあまり好きではない事、初代ウルトラマンとAの前半やタロウが良い事などを話したのだが、
 その男はしかし、私の話がさっぱりわからないという態で、単に「ウルトラセブンがいいですな。」と繰り返すばかりであった。決してその男は酩酊していたわけではない。


 恐らく、「ウルトラシリーズ=ウルトラセブン」という符号化がなされていて、とにかく「特撮」という話が出たら「ウルトラセブン」と言っておけばいい、とその男は学習していて、そしてそれ以外に特撮のことは知らなかったのではないか。


 ここで、皆さんに伝えておきたい事がある。


 池田憲章氏が語ったところによると、当時の日本SF界(というか日本SFファン界と言った方が正しいか)では、「特撮」は相手にされなかった。
 そこで、彼らに認めてもらうため、特撮が市民権を得るためには、「ノンマルトの使者」「第四惑星の悪夢」などのSF色の濃い「ウルトラセブン」を持ってくるしか、切り口として「ウルトラセブン」を使うしかなかった、と。


 つまり、わかりもしないステレオタイプのおっさんが飲み屋で「ウルトラセブン」と叫ぶようになったのは、もともとは、池田憲章氏が、日本特撮を、いわゆる当時のヲタクの本流であるSFファン界に認めさせるために、やむなく使った手段の名残であり、「作られた評価」なのである。


 池田憲章氏との出会いの話はまたいつかするとして、日本初の特撮評論家として果たした功績は非常に大きく、彼の採った手段は決して間違っていない。そのおかげで、特撮は、ヲタク文化を構成する大きな要素となったし、また現在では、他のアニメやコミックなどと同じく、芸術のひとつの表現形態として認知されている。


 だが、忘れてはならないのは「ウルトラセブンが面白い」というのは、そのようにして作られた評価なわけで、「あなた自身にとって面白いかどうか」ということとは、本来無関係なはずである。


 世の中にはそりゃ本当に「ウルトラセブン」が一番好き、という人がいてもおかしくはないが、それと同じくらい「初代ウルトラマン」と「ウルトラマンAの前半」と「ウルトラマンタロウ」が好き、という人がいてもおかしくない筈なのだ。


 大切なことは、「自分の目で物を見る」ということ。自分でウルトラシリーズを見、自分で、「一番面白いウルトラシリーズは何か」を決めることだ。


 冒頭の危機感に戻るが、このWOWOWの宣伝番組「君こそエースだ ウルトラマンAの魅力」の製作者は、ウルトラシリーズを自分では見ていないのではないか、ということ、

 そしてもっとも危機感を覚えたのは、ステレオタイプな価値観によって、「ウルトラマンA」が正しく評価されていない事である。


 試みにTwitterでハッシュタグ#ウルトラマンAを検索してみると、なんとたった2件しかない。これほどまでにウルトラマンAが認知されていないことに絶望的な危機感を覚えた。


 私の初期ウルトラシリーズの評価は


 1.ウルトラマン>2.ウルトラマンA(前半)>3.ウルトラマンタロウ>4.ウルトラセブン>5.帰ってきたウルトラマン>6.ウルトラマンレオ


 である。ここをご覧になった方は、少なくとも、歴代2位に推す人もあるぐらいの作品だ、と思って、是非今回のハイビジョンリマスター版放映で(28話まででいいので)ご覧いただき、ご自身でその評価をしていただきたい。


 ウルトラマンAの魅力は、ウルトラ兄弟が最初に登場したことでも(ウルトラ兄弟が兄弟として描かれている作品はむしろウルトラマンタロウである)、ウルトラの父が登場することでもなく、「胸のすくような圧倒的な強さ」なのである。


※ただし、ご存知の通り、ウルトラマンAがすばらしい作品であるのは前半だけで、路線変更後(南夕子が月へ帰ってしまった後)の後半2クールは、もうグダグダである。
 だが、だからといって、それが前半の素晴らしさを否定する事には全くならない。


 「超時空要塞マクロス」が名作であることは誰も疑わないが、あれだって「愛は流れる」までが素晴らしいだけで、後半はグダグダだ。
 「前半」とはいえ、それだけで28話あるわけで、これが1期と考えれば、「アキバレンジャー」も「ドグちゃん」もみんな2期はグダグダなわけで、だからといって1期の評価が下がる事にはならない筈だ。




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