チルソナイト
総天然色ウルトラQの「ガラダマ」「ガラモン」を見ているのですが、この中に出てくる「チルソナイト」(ウルトラセブンの「緑の恐怖」にも「チルソナイト808」として登場します)
一般には架空の物質とされているようですが、「ガラダマ」での一ノ谷博士のセリフでは
「非常な高熱で溶解された珪酸アルミニウムの一種で、ガラス状結晶体です。
ついこの間リビア砂漠で発見され、チルソナイトと名付けられた鉱物と同種類のもので、やはり宇宙から飛来した物質として学会の問題になりましたが...」
と言っています。
ところで、アルミニウム珪酸塩(Al2SiO5)の鉱物としては、以下の3つが知られていて(同質異像)、それぞれ下記の生成条件があります。
・藍晶石(カイアナイト)→低温・高圧
・紅柱石(アンダリュサイト)→中高温・低圧
・珪線石(シリマナイト)→高温・中高圧
この条件から言うと 「非常な高温」で生成されるのは「シリマナイト」という事になるのですが、もう一つ、
「 リビア砂漠で発見され、宇宙から飛来した...」というのはおそらく「リビアングラス」という、隕石によってできたいわゆる「テクタイト」の一つで、6000年くらい前のものですが、発見されたのは1932年。ウルトラQが1964年ですから、多分間違いないでしょう。
ところが、この記事によると、シリマナイトは『モルダヴァイトが発見された場所の付近で発見された』と書いてあるんですね。
「モルダヴァイト」は「リビアングラス」と並ぶ代表的な「テクタイト」なので、その近くで発見された、ということは、やはり「チルソナイト」のモデルは、この『シリマナイト』(冒頭の写真)ではないかと思うわけです。
ついでながら、これは話に出た「モルダヴァイト」。本物か、と言われても、私は専門家ではないので判断はつきません。
モルダヴァイトやリビアングラスなどのテクタイトは、隕石によって地球の物質が変化して出来たと言われていて、その組成は天然ガラスなので、いくらでもニセモノが作れるわけです。特にモルダヴァイトはかなり精巧なニセモノが作られていて、非常に知識のある業者でないと見分けはつかないんだそうです。
ただ、宝石の場合は特にですが、高額で売買される場合はともかく、本当に「本物と全く見分けがつかない」のならば、別に本物だろうとニセモノだろうと問題はないんじゃないかとは思います。
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