能代宇宙イベントに行ってきた
秋田県能代市で行われた宇宙イベントに行って来ました。
なんでも、秋田県は、かの糸川英夫博士が日本で最初のロケット(ペンシルロケット)を打ち上げた所だそうで、イベントはロケットが中心。
学生たちで作った東海大学のハイブリッドロケットの打上をはじめ、子供たちや、県知事・市長さんまで、みんなロケットを打ち上げて楽しんでいました。
他に、大学対抗で、気球から落とした衛星(CanSat)を、自動操縦で目標にいかに近づけるか、というコンテストもあり、広大な原野と青い空に黄色い気球の組み合わせがまるで映画のようでした。
夏の一日をすっかり楽しんでしまいましたが、このイベントはこれから毎年行われるそうなので、新しいもの好き、面白好きにはオススメです。
学生たちが作ったロケットが飛ぶ
イベントは東海大学ハイブリッドロケットの打上から始まりました。
アメリカでは、地上100kmクラスの宇宙飛行は民間に移管しようという動きがあり、昨年末に初めて民間企業による宇宙飛行(SpaceShipOne)が成功しました。最近、これを使った宇宙旅行ツアーの募集が日本でもありましたので、ご存知の方も多いでしょう。 さて、日本はもともと国自身の技術が自力で宇宙旅行できる所まで行っていませんから民営化もクソもないのですが、ロケット技術に関しては世界一流です。
なので、日本はまずロケットの民営化から、というわけかどうか知りませんが、これは東海大学の学生さんが作ったロケットです。もちろんロケットは一人では作れませんから、ちゃんとプロジェクトマネージャがいて、開発組織があるんです。それがみんな学生だというところがすごいわけです。ロケットには燃料が固体のものと液体のものがあるのですが、このロケットは液体と固体の両方を使うのでハイブリッドロケットと言うそうです。
(写真は支柱に隠れてよく見えませんが、ロケット点火の直後。実はロケットの撮影はこれが初めての写真だったので、いい絵にならなくてスミマセン。)
知事も市長も、ロケットを打ち上げる
イベントは次に、秋田県知事、能代市長他の祝辞があったのですが、二人ともロケットが大好きのようで、なんでも能代市全体としては必ずしもイベントに賛成というわけでもなかったところ、市長が一番積極的で,開催が実現したとか、市長が「能代市に大学を作りたい」というと、知事が「宇宙大学なら話に乗るよ」と返すなど、二人とも本音でロケットが大好きという様子でした。
写真は一番左が秋田県知事で、今まさに知事がロケットを発射した瞬間。その右の能代市長もこのあとすぐ次のロケット(写真のオレンジと黒のもの)を打ち上げました。
かわいいけどすごい!女子大生、大活躍
この写真、この時は単に可愛いから撮らせてもらっただけのつもりだったのですが、実はこのお二人は秋田大学のロケット同好会(名称は違っているかもしれません。ゴメンナサイ)の方で、チームにはあと何人かおられましたが、前述の知事や市長のロケットのセッティングをしたのも彼女たちなら、この後にご紹介する、子供たちのロケット打ち上げ体験のサポートもこの方たちが中心、というわけで、このイベントでは大活躍でした。
特に左の方には、私も打上の撮影方法とか教えていただいたのですが、「ロケットの打上ももちろんやるんですが、いつのまにか記録係みたいになって」ということで、この日の全部の打上げと、午後の全競技、閉会式まで、炎天下にもかかわらずすべて撮影しておられて、熱中症になるんじゃないかとヒヤヒヤしながら休み休み撮影していた私なんかからみると、本当にすごいです。
子供たち、大よろこび
次はいよいよ、子供たちのロケット打ち上げ体験なんですが、「発射準備よし、秒読み開始、5、4、3、2,1,点火!」の「点火」のところで発射ボタン押さなければいけないところを「発射準備よし」のところで押してしまう子供とか、逆に、カウントが終わってもなんだかわからないでタイミングがずれてしまう子とかいて、サポートのお姉さんたちも大変でしたが、やっぱり子供たちは大喜びでした。
今回は全部で30本以上の体験打上があったのですが、それでも打上を希望する子供の数には足らず、兄弟やお友達の場合は二人で一機を打ち上げるというシーンもありました。
打ちあがったロケットは、上空高くでパラシュートが開いて降りてきます。パラシュートが開くと、大人も子供も大興奮。
その間にもポンポンと
子供たちが体験打上をやっている間に、射場の方では、もう少し大型のロケットが次々と打ちあがっています。中には、遠隔地から発射ボタンを押せるものもあり、こちらの方は大人の参加者がボタンを押していました
ロケット原理の説明もあります
打上体験が終わって、昼休みには、最初にハイブリッドロケットを飛ばした東海大学の学生さんによる、ロケットの原理の説明や、ロケットエンジンの燃焼実験などがありました。ここでも、スイッチを押すのは、「じゃんけん」で勝ち残った子供です。
Tシャツも売っている
イベントなのでTシャツも売ってます。絵柄は当然ロケットですが、学生の手作りロケットから撮影された地球の写真などのデザインもあります。チェキ!(左の写真はチョキ!ですね)
午後はCanSat競技会
午後は大学対抗(高専も参加)のCanSat競技会です。CanSatというのはつまり「缶サテライト(衛星)」ということで、ジュースの缶ぐらいの大きさをした衛星(?)を気球から落とし、缶の中に仕込んだ自動操縦装置がパラグライダーを自動操縦しながら、目標地点にいかに近づけるか、というのを競うものです。左の写真はCanSatの一例。これにパラグライダーがついています。
気球からCanSatが放出された瞬間
下の缶の中の自動操縦装置が、上のパラグライダーを操って、目標に近づけます。
これが目標
優勝は東京大学でした
CanSat競技会は7つの団体が2回ずつのトライを行い、東京大学が優勝しました。目標までの距離47mは日本新記録だそうです。閉会式で、能代市長から優勝カップなどが渡されました。
まるで映画のような一日
宇宙イベントの会場は幅500m、長さ3kmにわたる広大な更地で、眺めはまさにパノラマ。そして空の青さに黄色い気球が映え、まるでシネマスコープかハイビジョンの映画を見ているようでした。(確か映画「GTO」に同じようなシーンがあったような気がします)。映画といえば、長澤まさみの「ロボコン」も学生の競技会を扱ったものですが、あちらは室内なので、同じメカもので学生の競技会なら、こちらの方がずっと絵になります。映画人が知らないだけなのだと思いますが、是非誰かに撮ってもらいたいです。 素晴らしい景色の中、夏の一日を思いっきり楽しめました。この宇宙イベントは、今回が第一回で、これから毎年行われるそうなので、ここをご覧になった皆さんにも是非、オススメです。
追伸:
第三回の、2007能代宇宙イベントについての記事を書きました。
ご興味のある方は下記をクリックしてください
再追伸:
第七回の、2011能代宇宙イベントについては、このブログではなく、
「のしろケットちゃん3D化計画」のブログに書いていますので、
ご注意ください。お読みになる方は、下記をクリック。
| 固定リンク
コメント