酒と踊りで宇宙な4月1日 土佐宇宙酒,解禁イベント報告
宇宙に行った酵母で作るのが宇宙酒
宇宙旅行をしてきたのは、実はお酒を造る酵母です。
酵母をソユーズ宇宙船に乗せて、国際宇宙ステーションに持ち込み、そこで8日間無重力状態に置いた後、地球に回収し、その酵母で作ったのが土佐宇宙酒というわけです。
宇宙に行った酵母は6種類あり、それをどう組み合わせるかは、この企画に参加した17の蔵元に任されているので、同じ宇宙酒といってもそれぞれ違った味が楽しめるわけです。
写真はイベント会場で上映された解説の映像から。
てんくろうの会
宇宙酒を企画したのは、「高知県宇宙利用推進研究会」という所ですが、その会の愛称を「てんくろうの会」というそうで、「てんくろう」とは土佐弁で「おおぼらふき」の事。酒造組合会長さんのお話によれば「会の名前がそうだから、ほら話かと思ってメンバーを見たら、JAXAを始め宇宙航空の蒼々たる顔ぶれがならんでいたので、これなら大丈夫だと思った」との事。
なるほど「おおぼらふきの会」だからエープリルフールに解禁なのか。
写真は、宇宙酒を醸造された高知県酒造組合の会長さんと蔵元の皆さん。
乾杯は打上のカウントダウンで? 宇宙酒の解説と会長さんの挨拶の後は、高知県知事による乾杯。
ダンドリでは、ソユーズ宇宙船の映像を見ながら「5、4、3、2、1、0」とカウントダウンを行い、発射の瞬間に「カンパーイ」となるはずでしたが、いくら宇宙酒のイベントとはいえ、これはさすがに先進的すぎたようで誰もついてこれず、見事に失敗。
失笑の中、「知事お願いします」ということで、改めて普通の乾杯となりました。
高知の名物料理で、宇宙酒を
このあとは、続々と土佐料理が登場し、それを肴に、会場で宇宙酒17種類すべてが試飲できるというしくみです。
が、何しろそれだけのお酒と、後でご紹介する踊りなどのアトラクション、それにたまたまお隣に座った方(アメリカで日本酒を販売しているバイヤーの方だそうです)のお話も面白く、料理の写真を撮るのをすっかり忘れてしまいました。すみません。
写真は前菜の土佐名物皿鉢料理。撮影したのはイベントの開始前だったので、後ろにあるのは宇宙酒ではなく、食前酒として出されていた、各蔵元ご自慢の銘酒。
司牡丹 土佐宇宙酒
それでは、それぞれの宇宙酒を出来る限り紹介していきたいと思います。
「司牡丹」の社長さんは、この宇宙酒企画の立役者の一人で、冒頭の映像による宇宙酒の説明も解説はこの社長さんだったのですが、実は名だたるブロガーでもあります。
ブログでは丸出しの高知弁ですが、実際にお会いした社長さんは、一点の訛りもない綺麗な標準語で、ブログから連想するイメージとは違って、いかにも「クールガイ」という感じの方でした。
お酒の方ですが、土佐のお酒はカラいと聞いていたのですが、そんなことはなく、やわらかで、誰にでも飲める味でした。
アリサワ酒造 文佳人
文佳人さんのラベルは高知県出身のイラストレータ、デハラユキノリさんのデザインによるもので、一見、宇宙とは関係ないフレンドリーな感じのイラストなのですが、瓶を回してみると、左側にはちゃんと宇宙人が描かれています。(写真右下のカコミ)
実は右側にもこっそりとソユーズ宇宙船が描かれていたりして、目立たぬところで宇宙しているようになっています。
高木酒蔵 豊乃梅
もうそろそろバレてきたかもしれませんが、私は、普段日本酒はあまり飲まないので、日本酒の味には、実は詳しくないのです。
今回の「宇宙酒」企画も、焼酎に奪われたシェアを何とか取り戻そうということから始まったという話も伺ったので、そういう意味ではジャストターゲットなのですが(^^;)
なので、全く参考にはなりませんが、この日飲んだ中で私が一番おいしいと感じたのはこのトヨノウメさんでした。
しかしそれは、ひょっとしたら単に、このトヨノウメさんのお酒がたまたま一番「冷えていた」というだけのことだったのかもしれません。
皆さんも宇宙酒を味わうときは、是非、キンキンに冷やしてお飲みになることをお勧めします。あ、でもこれも逆に他の宇宙酒が冷えていたわけではないので、トヨノウメさんに限る、という可能性もありますね。
天女の舞に酔いしれる
みなさんは「よさこい踊り」と聞いてどのようなものを連想するでしょうか。多分左の写真のようなイメージではないでしょうか。
いや、私が知らなかっただけかもしれないのですが、次の写真をご覧ください。なんとこれも「よさこい踊り」。
隣の席の、高知に詳しい方にお伺いしたところ、「いや、むしろこういう方が普通です。」とのこと。つまりサンバカーニバルなんかとおんなじ理屈で、 いろいろなバリエーションがあってそれを楽しむのがよさこい踊りらしいです。
この後にもまたイメージの違う別の演目があり、計3つのよさこい踊りが披露されました。
それにしても、この中央で踊っていた女性の可愛いこと。
この世にこんな可愛い人がいるのかと思うぐらいすっかりマイってしまったのですが、かなり激しい動きで、室内も暗く、うまく画像を捕らえることができませんでした。
この時ほど、最新の高解像度、高感度のデジカメを持っていたらと悔やんだことはありません。
くやしいので、ピンボケですが、アップも載せておきます。
取材に入っていたNHKの人から「お酒は宇宙の味はしますか?宇宙酔いはしましたか」としつこく聞かれたのですが、残念ながら、お酒自身からはそれほど「宇宙」はイメージできませんでした。
しかしながら、美しい女性が踊る天女の舞を見ながら、おいしい料理とおいしいお酒に酔う。これこそ、「天にも昇る気持ち」、つまり、まさに「宇宙」に違いありません。
踊りを見るのに夢中になっていたら、試飲の方がすっかり終わりに近づいていて、シマッタと思った時は後の祭り。
しかし、宇宙酒でもう一つ大切なものはデザインです。ここからは、特にデザインが秀逸だと思ったものをご紹介します。
土佐鶴さんの夢追い酒は、星座をあしらったデザインが、洋酒のような顔をしてバーのカウンターにおかれていても違和感のない、洗練されたものでした。
菊水酒造 宇宙飛行
菊水酒造の宇宙酒は、 銀河系をあしらったパッケージデザインもさることながら、特筆すべきはそのネーミングでしょう。ズバリ「宇宙飛行」。
今年から来年にかけて、民間による有人飛行が開始されますが、1千万円以上の費用を払って宇宙に行く人たちが、帰ってきてから皆に配るお土産としては、これ以上最適なものはありません。
是非その方面に売り込んでみてはいかがでしょうか。
濱川商店 美丈夫
流れ星をあしらったラベルと、箱にうっすらと刻まれた地球とソユーズ宇宙船がロマンをそそる上品なデザインの美丈夫 宇宙酒です。
美丈夫の方に伺ったのですが、宇宙に持っていったのは乾燥酵母と生酵母の二種類があり、今年使ったのは乾燥酵母ですが、生酵母の方は、培養すればいくらでも増えるので、宇宙酒は今年限りのものではなく、ビジネスとしてうまくいくのであれば、来年も再来年も、いつまでも作りつづけることは可能なのだそうです。ちなみに美丈夫さんは来年もやるとのこと。
ネットでは、お店と銘柄によってはすでに品切れも続出している様子の宇宙酒ですが、今年手に入らなかった方は、是非来年に期待しましょう。
会場では、参加者が大漁旗を振ってみる試み(左の写真)や、なんとステージで(消防法ギリギリだといっていましたが)石油缶を使った初鰹のワラ焼きの実演、和太鼓の実演など、いろいろな出し物が行われました。
よく考えると「どこが宇宙か」という感じもありますが、何がなにやら夢心地で、すっかりだまされてしまったのかもしれません。さすが4月1日、「てんくろうの会」の面目躍如というわけでした。
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コメント
目篭です。
宇宙酒のイベントですが、11月6日(月)にもあるようです。私自身は詳細を知らないのですが、この記事を見て興味を持たれた方のために、一応お知らせしておきます。
http://www.fullnet.co.jp/uchushu_event/uchushu_index.html
投稿: 目篭 | 2006/10/04 02:50
11/6のイベント行きましたが、特に新しいトピックがあったわけではなく、高知の日本酒拡販のネタに宇宙酒を使っただけのようでした。
宇宙酒は99.9%が完売だそうで、会場の各酒造さんのコーナーでも「すでに完売しておりまして..」と言って別のお酒を出す所が結構あったわけで(^^;)。
でも、前回飲み損ねた宇宙酒を飲む機会は得られました。今回飲んだ中では「安芸虎」さんの純米大吟醸と、「しらぎく」さんが、私としてはおいしかったです。
トピックとしては、宇宙に持っていった酵母は2種類あり、今年の宇宙酒は乾燥酵母でしたが、来年は持っていった生酵母を培養した物で作るとの事で、3月頃にお披露目があるそうです。
投稿: 目篭 | 2006/11/08 20:30
今年2007年の宇宙酒解禁は3月21日だそうです。
前のコメントにも書きましたが、今年の酵母は、「生酵母」です。
去年のはただ持っていって帰ってきただけの「乾燥酵母」なので、変化は起こっていないわけですね。
どおりで特に宇宙の味はしなかったわけですが、今年のはひょっとしたら...。
酒販店やマスコミ向けの試飲会はすでにあったそうですが、今年は東京では去年のようなイベントはないらしい。
替わりに、都内某所に「宇宙酒バー」が期間限定で設置されるとのことです。
http://blog.livedoor.jp/tsukasabotan/archives/50548400.html
投稿: 目篭 | 2007/03/04 21:16