荒川土手でユビキタスする
国土交通省が、荒川河川敷でユビキタスの実証実験をするという。ユビキタスといえば、以前新宿モア4番街での実験にも参加したが、都会の真中ならともかく、荒川の土手でユビキタス。ひょっとしたら意外と面白いものになっているかもしれない。早速参加してみました。
※ユビキタスというのは、もともと「神はどこにでもいる」という聖書の言葉で、このことからIT業界では、「いつでも、どこでも、情報が手に入るしくみ」のことをユビキタスと呼んでいます。
河原のあちこちに柱が
ユビキタス実験の行われているのは、都営南北線赤羽岩淵駅から荒川へ出たあたりの河川敷。
この河原のあちこちに、写真中央のようなポールがたっていて、そこへ端末を近づけると、観光スポットの情報が、音声と映像で流れます。
ちなみに写真のスポットでは右奥の方に見えるバーベキュー広場の案内が流れます。
音声はWAVファイルでよろしければ、次のファイルをどうぞ。「bbqhiroba.wav」をダウンロード
合成音による音声読み上げですが、昔よりはずいぶん人の声に近づいているように思います。
端末をこのように近づけます
端末は新宿モア4番街での実証実験と基本的に同じものです。ただし、機械自身は進化しており、今回の実験では使っていませんが、写真の親指の右に見える小さな四角は指紋認証装置だったり、裏にはカメラもついていたりします。
これは表示される情報の一例。この次の画面によれば、荒川には12箇所のリバーステーション(防災船着場)整備計画があり、現在までに7箇所が完成しているそうです。
正直、こんなものが世の中にあるとは知りませんでした。多分普通に横を通っても、「何だろう」とすら思わなかったと思います。
これがリバーステーションの実物
で、これがその岩淵リバーステーション。河川敷の遊歩道に並行に設置されていますが、残念ながら扉にカギがかかっており、中には入れませんでした。
一瞬、「カギが閉まっていてどうするんだろう」と思ってしまいましたが、「災害」とは言っても、別に映画[日本沈没」のように避難民が船に乗ろうと押し寄せるわけではないから、船が着くときに開ければいいわけですね。
岩淵水門
折角なのでいくつかスポットをご紹介しましょう。
これは岩淵水門です。端末の案内はこんな感じ。
『赤い色の水門が旧岩淵水門であり、青い色の水門が岩淵水門です。
旧岩淵水門は、荒川の洪水が隅田川へ流入するのを防ぐために、大正5年から13年にかけて作られました。その後老朽化にともない、昭和57年に現在の水門が完成し、旧岩淵水門の役割は新しい水門に引き継がれました。
(原文のまま)』
ボードウォーク
ボードウォークという、水の上に突き出た遊歩道です。
案内メッセージは記録した筈だったんですが、家帰って探したらありませんでした。ハハ(^^;)。スミマセン。
遊歩道ですが、何しろ川の上に突き出しているので、釣り場として丁度良いのでしょう。釣り人がたくさんいました。
さて、次のポイントに向かおうとしたところ、なんと、そのポイントには服がかかっているではありませんか。
幸い服をかけた人はすぐわかったので、声をかけて服は除けてもらいましたが、
「ポイントラリーですか」
と言われました。
ま、そういわれればそうかもしれないし、確かにそういう使い方も出来るわけですが。
で、服をかけていたのはこの方。
ポイントの近くに水のみ場があり、マラソンするので脱いだ服をかけるのに、丁度良かったみたいです。
突然、花を選べと言われても..
服のかかっていたポイントで表示されたのは、観光スポットの案内ではなく、左のようなメニュー。
多分、「この河原でよく見かける花です。詳しく知りたい花を選んでください」というような意味だと思うのですが、そもそも花の名前を知らないわけですから、何を選んでいいかわからず、正直、
「ここで花の勉強をしろと言うのかよ。(しかも立ったままで)」 という感じでした。
まず写真を先に並べて、「この写真の中に、ポイントの近くに咲いている花があったら選んでください」とするとか、
あるいは、そのあたりの風景の写真が出ていて、その中の場所を選ぶと、そこに多く咲いている花の説明がある、などの形であればよかったかもしれません。
結局何という鳥だったのか...
更に次のスポットでは「鳥」でした。
花なら情報をこまめにメンテすれば、そのポイントにその時咲いている花を表示することはできるでしょうが、鳥は自由に空を飛ぶわけで、登録されてる鳥がたまたま飛んでいるとは限らないし、他の鳥が飛んでいるかもしれません。
だいいち鳥がまったく飛んでいない可能性だってあります。
あわてて周囲に鳥がいないか探したら、いたのがこいつ(写真)でした。
端末に登録されていたのは「ダイサギ」「コサギ」「カワウ」「チョウゲンポウ」「ヒドリガモ」で、片っ端から項目を選択して説明写真を見ましたが、どうもこいつはそのどれでもないようでした。
結構楽しめました
初めての場所に行って、そこでしか見れない珍しいものを見たり、あるいは逆に、普段目にしてはいるが気にもしなかったものについて知識を得たりすることは、意外に面白いものです。
このようなポイントが日本中いたるところに設置され、また端末も、貸し出しを受けて使う専用のものではなく、自分のケータイに表示されるようであれば、結構おもしろいシステムになるかもしれません。
ともあれ、河川敷で、のんびりとした時間をすごすのは、なかなか気持ちの良いものです。
こんな機会がなければその事に気が付かなかったかもしれないし、国土交通省荒川下流河川事務所が主催するこの実証実験の真の狙いは、ユビキタスではなく、実はそこにあるような気もします。(写真は岩淵水門)
実験は16日まで。
この実証実験は6月16日(金)までやっているとのこと。また、ポイントが取り払われるわけではないので、17日以降も不定期に行うことがあるそうです。
詳細は主催元のホームページをどうぞ。
写真は、実証実験の受付が設置されている荒川知水資料館(AMOA)の方。今回のレポートには女性の写真がなかったのでちょっと掲載です。
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コメント
目篭さん、楽しい荒川レポート、ありがとうございました。まるで、自分が現地に行って体験しているかのような臨場感あふれるお話、とても参考になりました。思ったよりも、充実した情報提供なので、感心しました。自分も時間があったら体験してみたいです。
投稿: イエイリ | 2006/06/13 06:54
イエイリさんありがとうございました。
イエイリさんには、独立した項目を立ててこの記事をお褒めいただいておりまして、うれしいやら、はずかしいやらです。
イエイリさんはプロのライターの方で、サイトはものすごく情報豊富です。ユビキタスや土木に関心を持たれた方は、是非名前のリンクからサイトを訪問されることをお勧めします。
投稿: 目篭 | 2006/06/13 22:13