リアル・ロケットガール 大空へ!
ついにリアル・ロケットガールたちのロケットが飛び立つ日が来ました。文部科学省女子中高生・理系進路選択支援事業にして、WOWOWのアニメとタイアップした、『ロケットガール養成講座』の女子高生と大学生たち。最初の公開講座から3ヶ月たって、彼女たちの青春がここに結晶します。
3月28日、秋田県能代の現場からお送りする、リアル・ロケットガール完結編です。前回の記事はこちら。
例によって、秋田美人の女子高生と女子大生、かわいい女の子満載でお送りします。
(写真は、ロケットの発射場所である「射点」に向かうロケットガールたち)
まずは機体班からご紹介
ロケットガールは、4つの班に分かれて活動してきました。まずは、ロケットの機体を作る機体班。
左から、高校生の中核メンバーである柿ピーさん、女子大生のリンリンさん、そして、デザイン担当のちょこさんとぷりんさんです。
柿ピーさんが持っているのが、パラシュートや缶サット(後述)が入る部分で、リンリンさんが持っているのがロケットエンジンの入る部分。
写真にはいませんが、機体班の指導は笹パンさん(前回の記事参照)。
その他、各班とも、記事で紹介するのはメンバーの全員ではないので、この点、どうかご容赦ください。
機体班は、ロケットの羽根を止める部品などの部品を、旋盤を使って作ったそうです。
女子高生が旋盤を削る姿に「萌え」る向きには残念ですが、手持ちの写真がありません。
どうかこの講座が実施された「秋田大学ものづくり創造工学センター」の旋盤を見ながら、ご自身でご想像ください(^^)。
ちょこさん、ぷりんさんは、機体のデザインの他にもスタッフジャンパーのデザインをしたり、みんなにミサンガを作ってくれたりしています。
写真は、ロケットガール養成講座の仕掛け人、秋山先生にミサンガを結んであげているところ。
ちなみに機体のデザインは、茶色と緑で「木」を表しているとのこと。
で、これがスタッフジャンパーの背中。みんなのニックネームが書かれています。
左側に書かれているのは、この記事の最後でご紹介する「のしろケットちゃん」のセクシー版(?)、「セクシーのしろケットちゃん」だそうです。
エンジン担当の燃焼班
燃焼班は、ロケットエンジンを担当します。
右からスギっちさん、高校生の中核メンバー・シュガーさん、グリーンさん、ジジさん。
これも写真にいませんが、燃焼班の指導は、ロケットガール総帥のさぁやんさんです。
シュガーさんが持っているのがロケットエンジン。
下の黒い部分が燃料(ABS樹脂)で、上の白い所が酸化剤(N20:亜酸化窒素)を入れる所です。
物が燃えるためには「燃えるもの」と「酸素」が必要、というのは小学校で習いましたね(^^)。燃えるものが燃料で、酸素を供給するのが酸化剤、そしてロケットは、物を燃やした時に出るガスの勢いで飛ぶわけです。
燃焼班は、打ち上げまではすることがなく暇、ということだったので、スギっちさんに私の話し相手をしてもらいました。(うれしかったのでアップでのせちゃえ!)
スギっちさんは、東京の大学生で、自分の大学でもロケットを打ち上げたい、その勉強のためにロケットガールに参加しているとの事。
余裕をこいてるように書いてしまった燃焼班ですが、実は、今までにもいろいろ大変なことがありました。
写真はJAXA多目的実験場で行われた最終燃焼実験。左側の棚の中にロケットエンジンが設置されています。
一日目は、雪交じりの土砂降りに近い雨の中で、びしょぬれになりながら、暗くなりかけても成功せず、時間切れで、翌日に持ち越しとなりました。
幸い次の日は晴れ、実験も成功したそうですが、それぞれ、この日の取材だけではわからない苦労がいろいろとあるわけです。
そして、もちろんですが、これから行われる点火、打ち上げの瞬間こそ、燃焼班の一番大変な時なのです。
缶サット班 缶サット班、集合写真撮らなくてごめんなさい(^^;)。
上が高校生の中核・さくらさん、下が指導の大学生えりつさんです。
それぞれ別のマスコミに「缶サットとは」という説明をしているところ。
ちなみに、缶サットとは、缶サテライト(CanSatelite)、人工衛星の制御技術を学ぶために、ジュースの缶ぐらいの機械を上空から落としていろいろなことをさせるものです。(詳しくは能代宇宙イベントの記事をどうぞ。)
缶サットは搭載のカメラがうまく動かず、昨日は徹夜だったとのことです。
で、写真の左側が缶サット。右側はパラシュートです。
パラシュートは機体デザインが「木」なので、りんご(実)の形になっているとのこと。
缶サットは3段になっており、さくらさんによれば、2段目と3段目は、pringlesとchipstarの空き筒で出来ているそうです。
今回の缶サットは、動画も取れるカメラがついており、空中で缶サットが3段に展開されると、最後の段にあるカメラが撮影を行うようになっているとのことです。
開放機構班は大変
この日、一番大変だったのは、たぶん開放機構班でしょう。
開放機構班の高校生の中心は、左の首相さん。指導は右側のみっちゃんさん。
みっちゃんさんが持っているのが開放機構で、空中でロケットを「パカっと」、と2つに割って、中からパラシュートや缶サットを出すしくみです。
しかし、それがうまく動かない。打ち上げ時間をずらして、ぎりぎりまで調整が続きます。
これが開放機構の中身。黄色い部分のバネを強い力で押して縮め、ロックをかけておきます。
決められた時間になると、回路から電気を流し、モーターを回してロックを解除するので、バネの力でロケットが「パカっと」開く、という仕組みです。
そして、最終の実験、ここで失敗すれば打ち上げができません。結果は、動画をご覧ください。(音が出ますので、支障のある方は、右のボリュームつまみを左にしてください)
動画の中で、カウントダウン後、カウントアップしているのは、打ち上げの後、9秒経ってから開放機構が動作するようになっているためです。
動画にはありませんが、成功後、皆から大きな拍手が沸きました。
ロケットの組み立て
ここで少しロケットの組み立て方を見ておきましょう。まず、燃焼班のエンジンが入る一番下の部分の上に、開放機構班の開放機構を載せます。
そしてその上に、缶サット班の缶サットや、パラシュートなどが入った一番上の部分を載せるわけですね。
各班の担当でない部分ははすべて機体班の製作ということでしょう。
壮々たるメンバーが見守る中...
打ち上げには、壮々たるメンバーが見学に来ています。
右端は、ロケットガールの原作者、野尻抱介先生。その隣はこの講座の仕掛け人秋山先生。一人置いて、能代市長、そして左端が「のしろケットちゃん」の作者です。
このほかに、ロケットガールと同じ学校の生徒たちが、大型バス2台で駆けつけてくれていて、見学場所は、実はきゃぴきゃぴ状態。
そして、そんなみんなが皆が見守る中、打ち上げがはじまります。
いよいよ打上げです。
打ち上げは、まず酸化剤(N20:亜酸化窒素)をタンクに充填することから始まります。
充填が終わると、白い煙が出ます。次に点火のカウントダウンが行われ、終わったところで点火します。
打上げの様子は動画でどうぞ。音が出るのでご注意ください。
打ち上げには成功しましたが..
ロケットの打ち上げは成功しましたが、上空で開放機構が動作せず、パラシュートが開かなかったため、残念ながら、機体はまっさかさまに落下しました。
忘れてはならないこと
ここで忘れてはならないことがあります。この講座は「ハイブリッドロケット打ち上げ講座」ではありません。
3ケ月ぶりに会った彼女たちは、それぞれがロケットのプロフェッショナルとして、押し寄せるマスコミへの対応をしながら、しっかりと自分たちの仕事をこなしていました。
そう、これは「ロケットガール養成講座」なのです。そして彼女たちは、たった3ケ月の間に、立派なロケットガールに成長しました。この講座は100%の大成功で幕を閉じたというわけです。
未来へ....
彼女たちが残したものはそれだけではありません。彼女たちに刺激されて、第二期、第三期のロケットガールが次々と誕生するでしょう。
また、彼女ら自身も、ぜひもう一度ロケットを打ち上げたいと思い、そういう進路を選択するとすれば、まさに「女子中高生・理系進路選択事業」の目的は達成されたことになります。
写真は、見学に来ていた彼女たちのクラスメート(と、たぶん未来のロケットガール候補)みんな翔ぼうとしています(^^)/。
(それにしても、秋田の女子高生ってなんでこんなにかわいい子が多いんでしょうか!)
のしろケットちゃんが待っています。 秋田大学では(予算がついて実施されればですが)、次期ロケットガールは、打ち上げを、夏の能代宇宙イベントで行うように考えているとのことです。
能代宇宙イベントには、全国各地から、大学生のロケットガールも集まります。ひょっとしたら、女子高校生たちのリベンジがみられるかもしれません。
現時点ではまだ出来上がっていませんが、今年の公式案内はこちら。
上のイラストは能代宇宙イベントの公式キャラクター、ロケットの妖精、「のしろケットちゃん」です。かわいいでしょう。ロケットガール養成講座でも大人気で、あちこちに描かれてていました。
のしろケットちゃんは、今、売り出し中のキャラなので、詳しいことは、是非のしろケットちゃんblogを参照してください。
なお、このキャラクタを使用する際は、必ずのしろケットちゃんblogにリンクを張ってください、とのことでした。
追伸:
ロケットガール第二期など、能代宇宙イベント2007の様子は、
「のしろケットちゃんたちの夏 2007能代宇宙イベント」 でお読みください。
2007.08.28
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コメント
秋山先生とともに、ロケットガール養成講座や能代宇宙イベントを作ってこられた村田さんが、4月14日に亡くなられたそうです。
目篭も3月22日のJAXA実験場との往復など、大変お世話になりました。
知るのが遅く弔電等にも間に合いませんでしたが、この場を借りて謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
投稿: 目篭 | 2007/04/19 12:31
5/20日本テレビ午後6:00~の「真相報道バンキシャ!」で、ロケットガール養成講座が報道されました。
取材されたご本人からは2日前にご連絡をいただいていたのですが、タイミングを逸してしまい、事前告知できなくてすみませんでした。
養成講座の最初からずっと密着取材されておられた方なので、あの時の興奮や感動が良く伝わってくる作品でした。
私も、映像の中で、また彼女たちに会えたような気がしました。
なお、残念ながら、今年は文部科学省の予算がつかなかったそうで、第二期のロケットガールは少し先のことになるかもしれません。
投稿: 目篭 | 2007/05/21 00:55
と、上のコメントに書きましたが、
何と、今年度は、秋田大学独自企画として「ロケットガール養成講座」を開講されるそうです。
実現された秋田大ものづくり創造工学センター長の土岐先生、秋山先生ほか関係の皆さんに心から拍手を送りたいと思います。
これで、能代では、第二期ロケットガールたちに会う事ができますね。
これを読まれた皆さんも8月は是非能代宇宙イベントへ!
投稿: 目篭 | 2007/05/23 23:12
なお、ロケットガール第二期の打上など、2007 能代宇宙イベントについては、
「のしろケットちゃんたちの夏 2007 能代宇宙イベント」
http://mekago.cocolog-nifty.com/dpzannex/2007/08/2007_0450.html
でご覧ください。
投稿: 目篭 | 2007/09/07 10:10