鉄道?バス?DMV阿蘇を走る
一台で、鉄道にもバスにも変身するというDMV(Dual Mode Vehicle)。熊本県南阿蘇鉄道で行われた試乗会に参加してきました。
鉄道マニアではない目篭がなぜ?と思う人がいるかもしれませんが、実はちゃんと宇宙につながっています。
いや、そもそも、DMVは半分鉄道ではない、といえばそうなんですが。
後半に、少しですが、一人旅の情報もあります。
※写真は南阿蘇鉄道高森駅で、鉄道になるための「モードチェンジ」に向かうDMV
まずは鉄道のところを
DMVは「モードチェンジ」をすることにより、線路を鉄道として、道路をバスとして走ります。
まずは、鉄道として走っているところをごらんください。
(写真上にカーソルを持っていって、矢印をクリックすると動画が見れます。音が出ますので注意。動画は以下同じです)
をいをい、そっちは道路だぜ
これが線路から道路に出るところです。線路を走ってきたものが、グイっとカーブを切ると、そのまま道路を走り出します。知らない人が始めてみたらびっくりしますね。
南阿蘇鉄道、中松駅でのモードチェンジです。切り替えの一部始終が入っていますので少し長いですが1分ちょっとの動画です。
中では何がおこっているかというと....
モードチェンジを行うとき、DMVの中では何が起こっているかというと、運転手が交替しています。
鉄道とバスでは免許が異なるので、現状ではこのように二人の運転手が乗っていて、交替して運転する必要があるようです。
モードチェンジのしくみ
モードチェンジのしくみはどうなっているか、もう少し拡大してみましょう。
動画が見れる方は、車輪が降りてきて、タイヤが上がる様子がわかると思います。
冒頭の、鉄道として走っているところをよく見るとわかりますが、実は、タイヤが上がるのは前輪だけです。 後輪は車輪も降りますが、タイヤもそのままで、動力を供給しているのは、実は後ろのタイヤです。
車輪は、単にレールを踏み外さないようにするガイドの役割をしているわけですね。
詳しくはこの方のDVDを
DMVのくわしいしくみについて知りたい方は、北海道放送(HBC)から
「夢の乗り物!デュアル・モード・ビークル」
というDVDが出ています。持っているのはDVD製作メンバーのHBC記者、南部さん。ちなみに、DVDのセールスに来たのではなく、取材に来られたのです。
DMVはもともとJR北海道が開発したものを今回借り受けて実施しているもので、北海道では長期間にわたり実証実験や試乗が行われていました。
なぜ南阿蘇にDMVなのか
それでは、なぜ南阿蘇でDMVの実証実験を行う必要があったのでしょうか。
南阿蘇鉄道の周辺には、観光スポットがいくつもあるのですが、駅から離れたところにあるものが多いのです。
今回の試乗には、いくつかのコースがあり、まず鉄道として高森駅から中松駅まで走った後、バスとなって、コースによって、いろいろな観光スポットを回ります。
写真は私が試乗したコースで観光した「白川水源」。南阿蘇鉄道の周辺には、飲料水になるきれいな水源がたくさんあります。
写真は水源の水を飲んだり、ペットボトルに詰めたりする人々。いずれも同じDMVの試乗メンバーです。(空きペットボトルも売っていました!)
他のコースでDMVがめぐった観光スポットとコースについては、南阿蘇DMV導入実証実験・運行予定のページを参照してください。
交通機関がないならバスを出せばいい、という話があるかもしれませんが、たいがい大きな荷物を持っている観光客にとって、電車やバスを乗り継ぐのは大変です。
また、バスツアーに参加された経験のある方はご存知かと思いますが、長距離のバス旅行はとても疲れるものです。
近くまでは渋滞がなく揺れの少ない鉄道として、また乗り換える手間がなく最終目的地までバスとして行ける、DMVが求められているゆえんです。
大観光資源、阿蘇山が背後に...
南阿蘇鉄道の走っている南阿蘇村の背後には、当然ながら大観光地、阿蘇山があるわけですが、なんと、信じられないことに、この南阿蘇から、阿蘇山に行く公共交通手段は、ないのです。
南阿蘇には、後述するような魅力的な宿泊施設がたくさんあるのに、そこから阿蘇山に行く交通手段はマイカーでなければ、タクシーしかありません。
なので、今回のDMV試乗コースでも多くは阿蘇山に登っています。
写真は草千里駐車場でのDMV。後ろで煙の上がっているところが、阿蘇山の火口です。
南阿蘇ルナ天文台
南阿蘇の魅力的な宿泊施設の一つが、私が大好きな、南阿蘇ルナ天文台です。
オーベルジュ・森のアトリエと天文台が一体になった施設で、フランス料理と、星と、岩風呂が楽しめて、一人宿泊もOKです。
ここから阿蘇山への交通手段がないだけではなく、そもそも、南阿蘇鉄道の駅からここまで来る交通手段も、タクシーしかありません。
写真左側が森のアトリエ、右がルナ天文台です。
82cmの反射望遠鏡
ここのいいところは、口径82cmという大きな反射望遠鏡があることです。
いただいたコメントによれば、この望遠鏡は九州で一番の大きさとの事。
食事やお風呂の後で、解説つきで素人が気軽に見れる大きな望遠鏡は魅力です。
(天候が悪い時は、プラネタリウムでのお話、になります)
ちなみに写真で望遠鏡の左に光っているのは「月」です。
大きな望遠鏡のいいところは、光の量が多いので、素人が、普通の手持ちのデジカメでも、結構な写真が取れることです。
左の写真は土星。
使ったのはごく普通のデジカメ(LUMIX LZ10)で、「高感度」に設定した以外は、上の写真で人が覗いているところにデジカメを手で押し当てて、シャッターを押しただけです。
ただし、天文台の方は「写真は写真集でも見れるので、自分の目にしっかり焼き付けておく方がいい」と言われていました。
他の方への迷惑にもなりますので、写真を撮るのは、観望会の最中ではなく、終わった後に少し居残って、お願いして撮らせてもらうのがよいでしょう。私もそうしました。
月は大きくて明るいので、82cm望遠鏡でなくても撮れます。写真はもうひとつの小型の望遠鏡で同じようにして撮ったもの。
一人でも貸切の岩風呂
オーベルジュ系の、フレンチ・フルコースが楽しめるペンションは、一人ではなかなか泊まれないものですが、ルナ天文台に併設されいている「森のアトリエ」は、一人だとアウトバスにはなりますが、一人宿泊OKなのがありがたいところです。(複数人数はバストイレ付きの部屋もあります)
アウトバスとはいうものの、24時間利用可能な内風呂の他に、予約制の岩風呂があり、一人でも貸切できるのがうれしいです。
夕食のフルコース・フレンチ
グルメ紀行じゃないんだから、と怒られそうなので、料理の写真は合成して一枚にしました。この他に食前酒、パンorライスとドリンクがつきます。
さすがに、宿泊と天体観測込みで\9,000-では、アラン・シャペルや在りし日のジャン・ムーラン(いずれも神戸フレンチの名店)とはいきませんが、素材を活かした親しみのある味です。
フルコースですが、分量が多からず少なからず、丁度良さ加減が絶妙です。永年の接客で培ったノウハウなのでしょうか。
これはお約束
お約束なんで、森のアトリエ、スタッフの方です。他にもたくさんのスタッフの方がおられたのですが、特にお世話になったので。
ルナ天文台へDMVが走る日を夢見て
観光旅行はマイカーでするものとは限りません。
私のような運転免許のない人だけではなく、特に地域外からの旅行者の中には、せっかく骨休めに来ているのに、わざわざ自分で運転までしたくない人も多いのではないでしょうか。
車でなくては行けないような観光地は、南阿蘇だけではなく、全国にたくさんあると思います。 DMVが普及して、すべての人が、いろいろな場所に、気軽に観光旅行を楽しめる日が来ることを望みます。
※写真は、バスとして、阿蘇の山道を登るDMV
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コメント
初めまして、DMVのHPの管理人です。
メール有り難う御座いました。
目篭様で宜しかったですか?
読み方が良く判りません。
南阿蘇鉄道でのDMVの情報を探しているところでした、グットタイミングです。
是非、このブログをHPで紹介させて下さい。
宜しくお願いします!
これからも、DMVの情報ありましたら、教えて下さい。
どんどん広げて行きましょう!
投稿: dmv310 | 2008/03/31 17:39
dmv310さん
目篭(めかご)と申します。
もちろん、大歓迎です。
このブログは、主に宇宙を中心として「科学的な面白いこと」を書いていますので、鉄道を書くことは滅多にないと思いますが、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。
投稿: 目篭 | 2008/03/31 20:02
目篭様ブログのリンク件、承諾有り難うございます。早速HPにリンクアップしました。
これからも、よろしくお願いします。
私も宇宙には大変興味があります。
考えると地球の如何に小さいかが思えて成りません!どーして仲良く出来ないか、不思議です!
http://www14.plala.or.jp/DMV/DMVindex.html
投稿: dmv310 | 2008/04/01 22:51
先日のご宿泊ありがとうございました。
そして、こんなに丁寧にブログにまで
紹介していただきまして、ありがとうございます。(コメントが遅くなってしまい、すみません)
当日はゆっくり楽しんでいただけたようで
嬉しく思います。
天文台もこの日は綺麗に晴れ渡り、ゆっくりと
綺麗な南阿蘇の夜空をご覧いただけたと
思います。
ちなみに現在この望遠鏡は九州で一番の大きさを
誇っています。
またこちらまでお越しの際にはお立ち寄りくださいませ。
ありがとうございます。
投稿: 森のアトリエ | 2008/04/10 21:03