« 済州島(チェジュ島)潜水艦4つ乗り比べ | トップページ | "新・しらせ"で仰天の発見 新・南極観測船一般公開見学 »

2009/05/11

鉄道事業が大影響?謎の観測所~気象庁地磁気観測所一般公開見学~

Title

Top2

 北関東には、大正時代から、この観測所の観測が影響を受けるという理由で、半径約30km以内の鉄道がすべて「交流電化」になっている、という謎の観測所があるらしい。
 一体何の観測をやっているのか?時は春。科学技術週間でその観測所が一般公開されるというので行ってきました。大正浪漫の薫り、これぞレトロ・フューチャー。あ、ご心配なく、ちゃんと宇宙にもつながっています。ゆるキャラも登場。

Ten_line

電車の照明が消えます

まずは、この映像をごらんください。

これは、常磐線特急スーパーひたちの車内ですが、藤代駅と取手駅の間で、社内の照明が30秒くらい消えます。
 鉄道マニアの方や、近隣の住民の方には有名な話らしいのですが、初めて出くわすとびっくりしてしまいます。

Ten_line_2

半径約30km以内は交流でないといけない

Chizu

 鉄道の電気には「交流」と「直流」があり、都市近郊区間の鉄道は「直流」が経済的なのですが、北関東のこのあたりでは、これからお話する観測所の観測に影響があり、その周囲約30km以内の鉄道はすべて「交流」でなければならないので、電車が走っている途中でわざわざ「交流」と「直流」を切り替えているのです。
 (日本国内には、これとは別の理由で「交直切換」が行われている箇所もあります。)

 なお、最新の車両では蓄電池などを積んで、車内の照明が消えることがないようにしているため、現在では照明が消えるのはスーパーひたちなど、ごく一部になっているそうです。

Ten_line_3

いったい何の観測所か

Hyousatsu_3

 その観測所の正体は、「気象庁 地磁気観測所」でした。
ここの一番大きな仕事は、「コンパスなどの磁石が示す方向を正確に測定すること」です。
 なぜ、そんな測定が必要か、なぜ鉄道会社が全面協力をしてまで、この場所で観測を続ける必要があるのか、その秘密に迫ります。

Ten_line_3

磁石の指す北極は移動し続ける

Jihokkyoku

磁石(コンパス)の指す北極(磁北極)は、本当の地球の軸の中心である北極からは少しずれている、というのをご存じの方も多いと思いますが、磁北極は単にずれているだけではなく、毎年少しずつ移動しています。図は1600年から2000年までの磁北極の移動の軌跡で、カナダとグリーンランドの間をウロウロしています。

 現在はGPSで自分の居る場所を知ることができますが、少し前まで、自分の居る場所や行くべき方向を知ることができるものは、地図と磁石(コンパス)しかありませんでした。

 その磁石の示す先がずれていってしまっては、自分たちはどこに向かって行くのかわからなくなってしまいます。更に地図を作る時の基準もずれますから、正確な地図もできません。ではどうするか。

Ten_line_4

同じ場所で測り続ければよい

Honkan

 答えは簡単。同じ場所で磁石の針の指す方向を測り続ければいいのです。
測る方は同じ場所で変わっていないのですから、方向がずれたとすればそれは磁北極の方がずれたわけです。

 しかし、地球の磁力(地磁気)は、地表面ではたいへん弱いので、単に同じ場所、というだけでは不十分で、できるだけ同じ条件で測定することが必要です。

 同じ場所、同じ条件でずっと測り続けることで、磁極の移動が観測できる。
 これが重要なわけで、町ができて、鉄道ができても、観測所が移転するわけにいかないので、鉄道事業の方で工夫するしかなかったわけですね。

 さきほどの表札のあった本館は大正14年に造られたもので、少し遠くから眺めてみると、屋根のあたりの装飾に大正浪漫の薫りがします。

Ten_line_5

GPSも結局は....

Zettai

 確かに最近はGPSがあるので、地図と磁石(コンパス)の需要は減っていますが、そのGPSも、基本的には衛星との間で相対的な位置を割り出しているものですから、どこかで実際の位置と結びつける必要があるわけで、それを支えているのはやはりこれらの観測データということになります。(写真の説明は次の項目で)

Ten_line

絶対観測

Zettai2jpg_3

 最近では、地磁気の測定も電子機器で自動的に記録しているそうですが、電子機器は細かいデータを連続的に記録するのには向いているものの、ベースがちょっとづつズレていくような大きな変化には弱く、それは人間が手で測って補正するのだそうです。
 この作業を「絶対観測」と言って、写真の「絶對観測室」の建物はやはり大正14年のもの。一つ前の写真はその表札で、どちらも大正浪漫がいっぱいです。

Ten_line_2

地磁気の方向を測る装置

Sokuteiki_2

そして、実際に地磁気の方向を測る装置がこれ。
 写真左にある縦の円盤の横のハンドルを手でくるくると回すと、中でコイルが回るようになっています。
 磁力線(地磁気)を横切ると、コイルの中に電気が流れますが、コイルがちょうど地磁気の方向を向くと、磁力線を横切らないので電気は流れなくなります。

 写真のものは現役の装置ではありませんが、今使っているものも、ほとんどこれと同じようなものだそうです。

Ten_line_3

その昔は本当に磁石の針を...

Tsurijisyaku

 今は使われていないそうですが、前は本当に磁石の針を吊るしておいて、それに鏡をつけておき、そこに光をあてて、反射した光を感光紙に記録するという形で自動記録をしたそうです。磁石の針の方向が変わると、反射する光の角度も変わるので、変化の様子が記録されるわけですね。
 写真左がそれで、右は中央を拡大したもの。縦になっていますが、鏡がついた磁石の針がわかるでしょうか。 
 現在、この感光紙に記録した情報をイメージ処理して、過去の記録をデジタル情報に変換する研究もされているそうです。

Ten_line_4

実は「強さ」の方が大変

Tsuyosa

 地磁気観測所では、地磁気の方向だけではなく、強さも測っています。
 「方向」はGPSのおかげであまり出番がなくなりましたが、「強さ」の方は大変です。
 図は、地磁気観測所のホームページに掲載されている、地球全体の平均的な磁力減少のデータですが、なんとどんどん弱くなっている!。
 現在の減り具合だと、あとおよそ1000年で0になる勢いです。

Ten_line_5

磁力が0になると何が困るのか

Jikiken_2

これも同じく磁気観測所のホームページに掲載されている図ですが、地球は地磁気の磁力があるおかげで、太陽の方からくる高エネルギー粒子から守られています。
磁力がなくなると、それらが直接地表に降り注いでくるわけですが、そうするとどうなるか。

Ten_line_6

コンピュータが狂う

Jinkoueisei

 高エネルギー粒子が降り注ぐと、コンピュータのCPUなどの半導体が誤動作を起こします。
 3枚続いて借り物で恐縮ですが、面白い話で是非紹介したいので、写真は同じく観測所でのミニセミナーの資料から。
 人工衛星は磁力の弱い所も飛ぶわけで、そこでは計器トラブルを起こす。磁力が小さくなると誤動作する実例というわけです。


 現在、インテルなどの半導体メーカーでは、NASAやJAXAなど宇宙関係の機関と協力して、高エネルギー粒子が降り注いでも誤動作しにくい半導体の研究を進めていますので、まぁ1000年あれば多分間に合うだろうとは思いますが、もっと急速に磁力がなくなる可能性もないではないわけで、しっかりと地磁気観測所に観測していただく必要があるわけです。

Ten_line_7

プロトン磁力計

Proton_3 

 写真で三脚の上の棒の先についている灰色のものが、磁力を測るプロトン磁力計。
 写真はあちこちに出かけていって測定する時のための移動式のもので、一般公開のデモ用の測定をしていましたが、この観測所の観測でもプロトン磁力計が使われています。
 プロトン磁力計は、 以前、理研の一般公開の記事でご紹介したMMRにも使われていた「核磁気共鳴」を利用して磁力を測るもので、レトロなだけではなく、このような最新設備も使って観測がされています。

Ten_line_9

観測施設の全景

Kansokusisetu

 これが、現在観測が行われている施設の全景。観測に影響を与えるため、職員の方もこの柵の中に入る時は金属製のものを全部外して入るそうです。建物は全部木造。

Ten_line_10

たんぽぽやカエルも

Kaeru

 もう、お気付きのかたもおられるかもしれませんが、地磁気観測所は、観測の影響を避けるため、広い土地に建物が点在している、のんびりした、ピクニックがしたくなるような場所です。(いや、実際にはしてはいけないでしょうが)
 たんぽぽが咲いていたり、カエルがいたりしますが、この写真のどこにカエルがいるかわかるでしょうか。

Ten_line_11

空中電気室

Kuucyuudenki

 地磁気観測所が大正時代から観測しているものには、「地磁気」の他に、「空中電気」や「地電流」があります。写真はその空中電気を観測する空中電気室。やはり大正14年の建物。

 ところで、「空中電気」、なんという言葉の響きでしょう。まさにこれこそ大正浪漫!。
 『我等が誇りし空中軍艦は、気象庁地磁気観測が観測せる空中電気の力をば動力として活用せしむるものにして..(嘘)』、いや、このネタがわからない人は、日本SFの元祖、押川春浪の冒険小説を読む事をお勧めします。Wikipedia「海底軍艦」の外部リンクの項からネットでも読めるみたいですよ。

Ten_line_12

水を流す

Mizu

 で、空中電気とは何かというと、雷が電気だということは皆さんご存じの通りですが、それは、地面がマイナス、空中はプラスに帯電していて、その間を雷(電気)が流れるということなので、空中にはプラスの電気があるわけです。
 このプラスとマイナスの差(電位差)はだいたい、1mで100ボルトくらいあるそうで、「え、100ボルトもあるんだったたら感電しないの?」と思いますが、そのかわり電流(アンペア)はごくわずかなので、電力はボルト×アンペアですから、ほとんど影響はないわけです。

 前の写真で、空中電気室から右側に筒が出ていますが、この筒の先にあけられた小さな穴から水が水滴となって放出されることによって、電位を安定させて空中電気を測ります。
 「
水滴集電器」というそうで、なぜ水を流すと電位が安定するのか、正直に言うと、実はよく理解できませんでした!。大正時代の科学、深いです。

Ten_line_13

実は空中電気も大変なことに...

Kuucyuudenkigraph

地磁気の磁力だけではなく、空中電気でも、なにやら大変なことが起こっている様子です。1950年から1970年にかけて、電位差が大幅に減少した時があって、これは原水爆実験の影響によるものらしいのですが、1990年あたりからも、なぜか急激に減少しています。
 もともと、空中電気は、雷が起こる仕組みなどを解明するために観測していましたが、それらがだいたいわかってきたため、世界の他の場所では観測を止めてしまった所が多く、データが少ないので、この現象の原因はまだわかっていないそうです。
 地球温暖化だけでなく、何か我々の知らない変化が、地球に起っているのかもしれません。

Ten_line_14

で、こいつです

Harerun

 気象庁のマスコット「はれるん」。一般公開では、ドキュメントや会場のいたるところにイラストが書かれていたりグッズが置かれたりしていたので、てっきり、地磁気観測所のマスコットかと思ったら、気象庁のマスコットキャラでした。

Ten_line_15

どんな所にいたかというと...

これは、コイルに電気を流すと、磁界が発生して、磁石が反発する実験ですが、まあ、こんな風にいろいろと活躍していたわけです。

Ten_line_16

自然の解明には時間がかかる

Kaerukotae_2

 さて、さきほどのカエルですが、実は写真の右下隅にこんなやつがいました。生物の保護色も、いったいどういう理屈でこんなふうに進化できるのかよくわかりません。
 同じ科学でも、コンピュータやロケットはただひたすら未来を見つめて、新しいものを作り上げていけばいいのですが、自然の仕組みを解明するにはそれとは別のアプローチが必要です。

 科学技術も意外とミーハーで、特に事務屋が決める予算などは流行を追いかけたりするものが多いですが、一方で自然のからくりの究明には、何百年間も続けてデータを取ることが必要であり、それは流行りすたりや自分や組織の立場、などという低次元のものとは関係なく、人類が存在することの義務として、ずっと続けていかなければならない事だと思います。

 気象庁地磁気観測所は2013年で100周年だそうです。同じデータを100年にわたって観測し続けていることの素晴らしさを示すために、是非盛大なイベントが行われることを期待しています。

 ●気象庁地磁気観測所のホームページ
   http://www.kakioka-jma.go.jp/index.html

 ※なお、この記事のトップの写真は地磁気観測所の実験室。大正13年の建物です。

 

|

« 済州島(チェジュ島)潜水艦4つ乗り比べ | トップページ | "新・しらせ"で仰天の発見 新・南極観測船一般公開見学 »

コメント

興味深い記事でした!

投稿: | 2009/05/16 10:19

すばらしいレポート記事ですね!楽しく読ませて頂きました。これからもこういったサイエンスな記事を期待してます。

投稿: ねこ | 2009/05/17 01:00

 ねこさん、(無記名)さん、ありがとうございます。
 うまくいっているとは限りませんが、一応、この「目篭版D.P.Z(別館)」は、常に「サイエンス」(時々「テクノロジー」も混じりますが)で、なおかつ「面白い」記事を書くようにしているつもりです。
 なので、今後ともなにとぞよろしくお願いたします。

 不定期更新ですので、RSSなどを利用していただけると幸いです。 

投稿: 目篭 | 2009/05/17 21:44

地磁気観測についてはよくわかりました。しかし、直流電車が地磁気観測に影響を与えて、交流電車が大丈夫という理由が説明されていないようです。素人考えでは交流も電流だから無関係ではないような気がするのですが。昔聞いた話ではフレミングの何とかという法則というもので説明できるらしいのですが。そのあたりもご説明願います。

投稿: 鉄夫くん | 2014/01/27 11:13

鉄夫くん様、コメントありがとうございます。


「ご説明願います。」と言われても...。

   私は地磁気観測所の職員ではないし、観測所から依頼を受けて記事を書いた関係者でもなく、単に、一般公開を見学に行った者の一人なわけで...。

   もちろん、ブログを書くに当たっては、できるだけ、見たこと聞いたことを、正しく、わかりやすく書こうと努めてはいますし、その為にその時の現場では、できるだけ詳しく質問するようにしています。
   ひょっとして、当時の一般公開の中に、「なぜ交流ならOKなのか」という説明もあったかもしれませんが、なにしろこれはもう『5年前』の記事なわけで、今となっては、内容はおろか、そういう説明があったかどうかさえも記憶していません。

「そういう内容も記述すべきであった」という過去の記事へのご批判であれば、今となっては「申し訳ありません」とお詫びするしかないのですが、そもそも、過去の記事に関しては、誤りがあればどんなに過去の記事でも修正する必要はあると思いますが、「不十分だから書き足せ」と言われても、見ても聞いてもいないこと(いや聞いたかもしれませんが、もう忘れている事は同じです)を書くわけにも行きません。

「知ってたら教えてください」というお話ならば、「すみませんが知りません」というお答えになるのですが、「貴方には説明義務がある!」と言われるのであれば「何を根拠に!」というしかありません。

  ネットで調べて書き足すことは出来ないことではありませんが、それは鉄夫くん様ご自身がネットでお調べになっても全く同じ事なので、あまり意味はないかと思います。

なお、参考までにぐぐってみると、Yahoo知恵袋に、近い質問があって、
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1438665989
それによれば、
『交流電流でも磁力は発生しますが、磁力の向きが交互にNSNSNS‥‥と変化するので、時間で平均すれば、磁力は0になります。』

とあり、磁気観測所では長いスパンの磁気変化を測っているので、恐らくこれが該当するのではないかと想像しますが、確実にそうかどうかは、確認しないとわかりません。

  もし、確実な事が知りたいのであれば、五年前に一般公開を見学したブロガーなんかに聞くより、記事でご紹介している「気象庁磁気観測所」に直接お問い合わせされるのが一番早いのではないかと思います。掲示のURLは活きてます。

投稿: 目篭 | 2014/02/03 11:27

この研究所のおかげで、地域住民の生活に与える影響は計り知れない。かつては田舎だったこの地域、特に筑波山南部に位置するつくば市をはじめとする茨城県南はここ近年目覚ましい発展を遂げており、東京のベッドタウン化もしている。常磐線やTXが交流電化のために、高崎線や宇都宮線と異なりダイヤ編成上にも大きく影響を与えていることは明らかであり、これを解決することは地域住民の悲願なのである。すでに地方自治体ではこの研究所の移転を申し入れて久しいが、何ら動きを見せていないのはある意味研究者たちの誠意努力に欠けると言われても言い過ぎではない。昨今コンピュータ技術の大幅な革新と各種センサー技術の進化をもってすれば、将来的にも影響の少ない場所へ移転しデータを補正することもできるはず。気象庁はこの問題を早急に解決するよう強く求めたい。

投稿: | 2015/02/02 21:22

 匿名さん(できれば仮名でいいので名前をつけていただくと助かります)
コメントありがとうございます。

 しかしながら、前のコメントでも申し上げたとおり、私自身は、単に5年前に見学記事を書いただけの者です。それ以外には地磁気観測所とも気象庁とも何の関係もありません。仕事でもありませんし、お金も貰っていません。

 従って、それらの機関に対してご意見がおありなのでしたら、直接、気象庁か、地磁気観測所にコメントされるのがよいと思います。

--------------------------------------

 しかし、わざわざ、私の記事にコメントされておられるので、折角ですから、私の記事の範囲で、私の個人的な意見を、少しだけ述べてみたいと思います。

 大正時代にこの観測所が出来た時は、恐らく周りに何もない、従って、まさに誰にも迷惑をかけることのない場所だったのだろうと思います。
 地磁気観測は、現在のGPSもそれを利用しているぐらい、人々の生活になくてはならないものです。しかし、その観測方法は『ひたすら同じ場所、同じ建物、同じ条件で測り続けるしかない』というものです。
 本来なら、周囲30kmをすべて地磁気観測所の敷地とすべきものだったと思います。しかし、もしそうしていれば、それはそれで「何も使わない広大な土地の為に税金を使うのか」という非難があったでしょう。そういう理由でそうしなかったかどうかは私には知る由もありませんが、現実にはそうはならなかった。

 ところで、そのずっと後になって鉄道が引かれたわけですが、その、後から出来た鉄道に直流で走られたら、迷惑するのは、まさに地磁気観測所の方だとは言えないでしょうか。
 そこで、鉄道会社は「地磁気観測所に迷惑がかからないように」自分たちが交流または非電化にしたと考えられます。

 たとえば、近所に、何かトンでもなく迷惑な人がいて、それに対して「迷惑だから出て行って欲しい」と思い、行動するのは正しいことだと思いますが、もし、その迷惑な人がいることを知った上で、わざわざ後で隣に住んだ人がいたとしたら、その人が文句を言うのはおかしいとは思いませんか。

 鉄道会社は「自分たちが後から来て、地磁気観測所に迷惑をかけることになる」と知っていたからこそ、自分たちの方で、交流や非電化にしたのだと思います。そうでなければ、気象庁や地磁気研究所がお金を払ったり、鉄道会社からの損害賠償請求になっていたりするはずです。

 これは、住民の方々も同じではないでしょうか。その場所に住むのは、自分にとってそれなりのメリットがあるからでしょう。大正以前からそこに住んでいる人を除けば、みな後から来た人には違いありません。たとえ地磁気観測所の事を知らなかったとしても、それはむしろ不動産屋レベルの問題ではないでしょうか。

 「移転すればよい」というお話も、それが本当に技術的に可能かどうかは別にして、移転する先が人里離れた山奥だったとしても、もし今の状態を迷惑だというなら、また今回と同じように100年経てば同じことになるでしょう。つまりもし仮に迷惑だと思うなら、単にそれを次の時代の次の場所の人に押し付けているだけに過ぎません。その人たちは我慢するのが当然だが、自分たちは我慢するのは耐えられない、というのはおかしいと思いませんか?

 今の土地に住むことにそれなりのメリットがあるのであれば、後から来た人たちは「そういう土地なのだ」と思って住むしかないのではないでしょうか。

 最良の解決策は、『今の』地磁気観測所から30Km以内の土地を全部買い上げることだと思います。そんな金は今の気象庁にも、国にもあるわけがありませんから現実的にはありえませんが、もし仮にその最良の方法をとられたとしたら、どうしますか?今の場所に住めなくなってしまいますよ? お金のことを除けば、今やGPSの恩恵を受けていない人はめったにないわけで、それぐらいの価値はあるものだと思います。

 最初に書いたように、私は国とも、気象庁とも、地磁気観測所とも、それに関係する企業にも団体にも関係がありません。従ってこれは全くの私の私見です。

 ただ、私は「自分のことを一番に考えるのは悪いこと、人間として恥ずかしいこと」だと思っていて、今の「何でも自分中心に物事を考えるのが正しいことだ」という風潮を、常々大変苦々しく思っているので、敢て私見を述べさせていただいた次第です。

投稿: 目篭 | 2015/02/03 21:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22996/44796830

この記事へのトラックバック一覧です: 鉄道事業が大影響?謎の観測所~気象庁地磁気観測所一般公開見学~:

» なぜ?つくばTXの秋葉原・守谷間は直流、守谷・つくば間は交流 [Nakamura's Weblog]
つくばTXの電化方式は、秋葉原・守谷間は直流、守谷・つくば間は交流となっているそうです。そしてその切り替えを行う「無電区間(デッドセクション)」と呼ばれる区間が守谷・みらい平間にある様です。かなり以前に、常磐線でも取手の先でその様な切り替えをやっていると聞いた事がありましたが、その時は東日本と西日本の電力が50hzと60hzで違っているのと同じ様な理由かと思っていました。昨日、初めてその理由を知りましたが、私には予想外の内容でした。茨城県石岡市(旧新治郡八郷町)柿岡に「気象庁地磁気観測所」があって地... [続きを読む]

受信: 2010/10/17 22:44

« 済州島(チェジュ島)潜水艦4つ乗り比べ | トップページ | "新・しらせ"で仰天の発見 新・南極観測船一般公開見学 »