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2009/11/04

飛騨高山をセカイカメラで遊ぶ

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 飛騨高山で「セカイカメラ」を使ったイベントをやっていると聞いて行ってきました。
 拡張現実(AR)技術を体験するはずが、おいしいものがいっぱいあったり、かわいい女性に親切にされたりして、最後はもうなにがなんだか。

 このブログではおなじみの「のしろケットちゃん」も、能代ではなく、飛騨高山なんですが、なぜか登場します。

 ※写真は「のしろケットちゃん」のエアタグを高山の古い町並みに貼ったところ。

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セカイカメラとは

Setumei

 「セカイカメラ」は、頓知ドットが作ったi-Phoneのアプリの一つで、「セカイカメラ」を通して見ると、街の中に説明などが浮かんで見えます。

 写真の例では、中央にファミリーマートがありますが、i-Phoneの「セカイカメラ」をかざしてみると、そこに「ファミリーマート」という吹き出しが出ているのがわかるでしょうか。

 このような吹き出しは「エアタグ」と呼ばれていて、写真のような場所を表す「ランドマーク」の他に、自分でテキストを書いたものをエアタグにしたり、その場で撮った写真をエアタグにしたりすることもできます。

 「セカイカメラ」はAR(Augmented Reality:拡張現実)と呼ばれる技術の一つでもあります。

 ※なお、この写真のみ撮影場所は飛騨高山ではありません。

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位置がずれる

Zureru

 「セカイカメラ」では、どうやら撮影した時の位置とそこからの方向を覚えていてエアタグを表示しているようなのですが、なので、立つ位置が違うと、エアタグの場所がズレて表示されるようです。更に、自分が見やすいようにエアタグの位置を変えることもできるので、更に実物とはズレてきます。

 写真は高山駅前ですが、右手の建物が高山駅。エアタグは左の植え込みの所に表示されています。

 観光案内に使うには、今の機能ではちょっと苦しい感じです。

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壁を通過する

Misenonaka

 更に、場所と、そこから見える方向、ということなので、こんな風に家の中にいても、外のランドマークが全部見えてしまいます。

 これは昼食に入ったお店。「このカウンターが『三重の塔』なのか」みたいな感じです。

 ただ、セカイカメラでは「半径XXm以内のエアタグを見る」という指定ができるので、範囲を狭くすれば、これらのエアタグは見えなくなります。

 逆に、食事をしながら「これからどこへ行こうか」などと考えるのにはこの方がいいのかもしれません。

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飛騨牛朴葉味噌焼きの膳

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 では、そこで何を食べたんだと言われそうなので、一応ご紹介。
『飛騨牛の定食は平気で\8,000-とか\10,000-とかするので、リーズナブルに食べるならランチに限る』という話だったので、ランチは「飛騨牛朴葉味噌焼きの膳」。
 写真の他に、結構豪華な先付けと、ご飯・味噌汁・香の物がついて\2,575-(税込)
 お店は
ベストウェスタンホテル高山の「翔」。

 肉はやわらかくておいしかったですが、\2,575-という値段なので、普段の昼食から考えると、値段相応の味ということかもしれません。
 逆に、これで\8,000-とか\10,000-出せばいったいどんなおいしい肉が食べられるのかと思うと、それだけのお金を払って食べる気持ちもわかります。

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高山はあなどれない

Oisyasan

 食事の後は、本町商店街にあるイベントの出発点、「ひだっち獅子ギャラリー」へ向かいます。
 高山があなどれないのは、歴史的建造物ではなく、ごく普通に日常の診療をしていると思われるお医者さんの家がこんな造りをしていたりすることです。さすが高山。

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ひだっち獅子ギャラリー

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 で、ここが出発点の「ひだっち獅子ギャラリー」。飛騨高山の名物である獅子頭などを展示しています。
 「ひだっちプロジェクト」というのは、「『ひだっちマガジン』が中心となって、地元の商店街の活性化を目的として取り組んでいる活動」とのことで、情報誌やショップ、ギャラリーやホームページなど高山で幅広く展開されているようです。

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i-Phoneも貸してくれます

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 「セカイカメラ」はi-Phoneがないと使えませんが、イベントではi-Phoneも貸してくれます。身分証明書と保証金の\5,000-が必要ですが、\5,000-はセカイカメラ以外の用途に使わなければ、i-Phone返却時に全額返してくれます。

 なので、高山に行かれる方で、『持ってないけど、いっぺんi-Phone使ってみたい』という方にも良いイベントだったかもしれません。

イベントは2009年11月30日まででした。イベントの詳細こちら

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エアタグが見つからない

Ojyosan

 イベントは、高山市内のあちこちに「クイズ」のエアタグが浮かんでいて、それに回答する、というもの。正解数に応じてグッズなどがもらえます。

 ところで、クイズの第一問は、ここ「獅子ギャラリー」あたりに浮いているはずなのですが、それが見当たらない。
 担当の方がかなり長い時間試しておられたのですが、他のエアタグは表示されるのに、クイズのエアタグだけは見つかりません

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これが「ひだっち」

Hidacci

 なので、その間にギャラリー内を拝見。写真まん中が「ひだっち」。飛騨高山の伝統的なキャラクター「さるぼぼ」の発展形のようです。左右は更にそのバリエーションで、獅子バージョンとカエルバージョンの「けろっち」

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バージョンアップが原因らしい。

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 それでも、相変わらずエアタグは見つかりません。担当の方はこの間ずっと確認中。
 あちこち問い合わせた結果、実はこの日に「セカイカメラ」のバージョンアップがあったのですが、「クイズ」はこのイベントのために作られた特別のエアタグなので、その影響を受けてしまったようです。
 結局、バージョンアップを行っていない端末を、持っていた方にギャラリーまで届けていただく事になりました。

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で、クイズです。

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 写真のように、浮かんでいるクイズのエアタグにタッチすると、クイズの質問とヒントが表示されます。

 たとえば、クイズ1は、「ひだっち獅子ギャラリー」にちなんだ問題。『男獅子とは顔の一部が異なる女獅子、その違いは?』というもので、ギャラリーの中にヒントがあるとのことです。

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ヒントというか答え

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 そこで、ギャラリーの中を探すと、写真のように答がわかる、というわけです。

 基本的に、タグが浮いている周辺にある観光名所にちなんだ問題で、その周りにヒントがある、という形です。

 全部の問題と答えを書くのは営業妨害になるかもしれないので、興味のある方は是非イベントで体験してみてください。

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街中でエアタグがどう見えるか

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 たとえば、街中でクイズのエアタグがセカイカメラでどう見えているかというと、撮っているカメラの側が映りこんでいて申し訳ないのですが、赤い矢印の下にあるのが「クイズ5」のエアタグです。

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橋のたもとのお団子や

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 その「クイズ5」のヒントは「鍛冶橋のたもとにあるお団子やさんの脇にある看板」に書いてある、ということだったのですが、そのお団子屋さんはすごい行列。

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高山のみたらし団子はしょうゆ味

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 普段、行列のできる店には行かない主義なのですが、クイズのヒントでもあるし、名物でもあるので、ついちょっと。
 高山のみたらし団子は、あんかけではなく、しょうゆ味です。1本70円でした。

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高山はおいしいものの誘惑が...

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 お団子に限らず、高山の町を歩いていると、とにかくおいしそうなものがたくさんあって、ついクイズどころではなくなります。写真は「飛騨高山牛まん本舗」の牛まん。

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「その場の風景」しかエアタグにできない

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 ちょっと気を引きしめて、セカイカメラの話に戻ると、セカイカメラでは、画像をエアタグにすることはできるのですが、「その場で撮った写真」しか画像に使うことができません。

 いきおい、そこにあるタグはみんな同じ画像、という事になってしまいます。上の例は、高山の町屋建築、日下部民芸館と吉島家住宅ですが、風景と同じような写真がいくつも並んでいるのがわかります。

 ネットでのセカイカメラの評判で、『クソタグばかりだ』というのがありますが、一つには、自由な画像をエアタグとして貼れないことにも原因があるのではないでしょうか。

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そこで解決策

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 そこで解決策です。絵や画像を貼ったボードを三脚に立てて撮影すれば、自由な画像をエアタグにすることができます。
 エアタグには方向性があるので、ボードを地面に置いて撮ったりするとうまくいきません。
 
 実際には、風が強くてボードが飛んだり、日差しの関係で光がうまく当たらず光量が足らなかったり、意外と苦労はするのですが。

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のしろケットちゃんのご紹介

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 使ったのは、このブログでも何度か紹介している、能代宇宙イベントのマスコット「のしろケットちゃん」。もちろん使用許諾を受けています。

 ちなみに、のしろケットちゃんのグッズ販売は
こちら

 使用許諾等くわしい説明はのしろケットちゃんのブログへどうぞ。

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高山の古い町並にのしろケットちゃんが

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 そんなわけで、高山を代表する「古い町並み」のまん中に、のしろケットちゃんエアタグがふわふわと漂うことになりました。

 タグを貼ったのは2009年10月31日ですが、エアタグは日付でフィルタリングされるので、セカイカメラを持ってこの場所に行かれた方は、この日付が入るように、フイルターの設定を変えてみてください。

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屋台の説明には特別のタグが

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 このように、普通、エアタグの画像にはその場で撮った写真しか貼れませんが、高山祭に使われる屋台については、今回のイベントのために作られた特別なエアタグが使われており、タグが屋台の写真になっていて、クリックすると詳しい説明が表示されます。

 屋台のエアタグは、屋台が保存されている屋台蔵のあたりに浮いているそうですが、写真は、「高山祭屋台会館」のもの。

  実は、「高山祭屋台会館」には、萌え系の可愛い巫女さんがいて、詳しい説明をしてくれるので、エアタグの説明なんかいらないのですが、残念ながら、写真のブログ掲載は断られてしまいました。

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陽はとっぷりと暮れて

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 さて、おいしいものを食べたり、のしろケットちゃんエアタグを貼ったり、寄り道ばかりしていたらすっかり遅くなってしまい、クイズを全部回るどころではなくなってしまいました。
 夕方5時までにi-Phoneを返さなくてはいけないのですが、高山祭屋台会館は、獅子ギャラリーのある所からずいぶん遠いのです。

 夕暮れの高山の町並をひた走ります。

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待っていてくださいました。

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 本町商店街の灯りが見えた時にはほっとしましたが、この商店街、結構長く、なかなか「獅子ギャラリー」 までたどりつきません。
 結局かなりの時間遅刻をしてたどりついたので、ギャラリーは終わっていましたが、シャッターを半分閉めた状態で待っていてくださいました。


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お勧めの店を聞く

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 高山の人は親切だとは聞いていたのですが、本当にそうでした。
 なので、調子に乗って、「夕食を食べてから帰りたいので、お勧めの所がありますか」と伺ったら、「自分たちが食べておいしかった所は....」と言って教えていただいたのがこのお店。
 情報を発信している地域活性化のプロジェクトの方が、自分たちが食べておいしいというのですから、そりゃおいしいわけです。おまけに、なんと道案内までしていただいて、もう感激!。

 ちなみに、お店は「パスタ屋さん ミディ」。2号店だとの事。

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するりと抜けてそろりと納まる

Hidagyuspa

 注文したのは、「飛騨牛たっぷりラグースパゲッティーニ」\2,300-(税別)でしたが、他の普通のパスタは、大体みな\1,200-前後くらいでした。
 飛騨牛はもちろんおいしかったけれど、基本的にパスタとソースが絶妙だったので、他のパスタもきっとおいしいと思います。

 なんというか、いわゆる気取ったパスタ屋さんの麺って、喉に引っかかったり、胃に引っかかったりするような感じがあるのですが、ここのパスタは、しっかりとコシがありながら、それでいてどこにも引っかかることがない、どんどんいくらでも食べられる感じです。おまけに、さっきも書きましたが、ソースがこれまた絶妙で。

 ちなみに、付け合わせのルッコラやオリーブオイルは自家製とのことです。

 結構寄り道してつまみ食いをして来たので、最初に見た時は「こんなに入るだろうか」と心配したのですが、おいしいものは別腹のようで、つるつるとあっというまに食べてしまいました。

 昔、豊臣秀吉に仕えていたお伽衆の、曽呂利新左衛門(そろり・しんざえもん)という人は、元は刀の鞘を作る職人で、『おまえの作る鞘は、するりと抜けてそろりと納まる。これからは「そろり」と名乗るがよい』ということでその名前になったそうですが、突然何の脈絡もなく、そんな事を思い出してしまいました。

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飛騨高山は素敵です

Kouyou

 新宿からの直通バスだと、飛騨高山まで、片道\6500-、往復でも\11,700-だそうです。しかも深夜バスではなく、昼間のバス。
 バスで日帰りはちょっと苦しいかもしれませんが、1泊するか、帰りに鉄道を併用すれば、日帰りもできない事ではありません。
 鉄道だと倍ぐらいのお金がかかりますが、渓谷沿いを走るので、車窓から突然、写真のような渓谷美が現れたりして、油断がなりません。

 セカイカメラを使った拡張現実(AR:Augmented Reality)技術の実証実験、に参加するつもりで飛騨高山に行ったのですが、位置決めの問題等で観光案内としてはなかなか使いにくい「セカイカメラ」も、クイズなどのイベントには、逆にその見つけにくさが面白さになって、結構使えそうです。

 でも、実は、おいしい食べ物があって、かわいくてやさしい女の子がいて、最後はもうARなんてどうだっていいやって感じでした。

 いや、本当に飛騨高山は素敵です。皆さんも是非どうぞ。

追記:2009.11.14

  このイベント「iPhoneおさんぽコース」をされている、ひだっちプロジェクトの担当の方の記事が掲載されていますので、リンク先をごらんください。さすが本職はセカイカメラの映像がきれいです。 (目篭が下の<蛇足>をあわてて追加した理由も記事からわかるかも)

 同じ記事で紹介されている、別のブロガーの方の記事も、注意事項がうまくまとめられているので、実際にイベントに参加される方は、是非ご参照ください。

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<蛇足>

 記事は、ARの実証実験レポートとしてはあまりにもアレなので、D.P.Z(別館)として妥当かどうかはちょっと疑問ですが、某所に書いた物を転載しておきます。

 「むずかしいのはちょっと..」という方は、どうか、以下は読み飛ばしてください。

○観光ツールとしての「セカイカメラ」の感想

  1.目標物の位置が特定できない。 

   観光案内では「目標物の位置が特定できない」という問題から、使いにくいように思います。
  多分、他のARでやっているような、マーカーをつけておいてそれを覗く、感知するなどの方が優れているでしょう。

  セカイカメラでやるならば、エアタグを感知する距離をユーザーが指定する現在の方法ではなく、エアタグ側が一定距離に入ったセカイカメラに対して強制的にエアタグを送りつけるようにして、またそのためには、フィルター機能と分類の高度化(「観光案内」という分類があるなど)などの方法が必要な気がします。

 2.オリエンテーリングには向いている。
  
  「オリエンテーリング」的な使い方には、非常にマッチしていると思いました。
  理由は『エアタグが見つけにくいから』です。あと、オリエンテーリングの場合、「標識」って、その場所から数mや数十m移動しても特に影響ないですしね。
  イベントのツールとしては、結構イケるのではないかと思います。

 3.「見る側」と「管理する側」は別の方が良い

   イベントでも観光案内でもいいのですが、エアタグの管理は遠隔地からでも簡単にできるようにしないと、実使用は難しいのかなと思いました。

   たとえば、管理する側では、自分の発行したエアタグが「リスト」で表示されて、それを選択すると、内容を書き換えたり追加したり、削除したりできる、というような。

   結局、「見る側」と「情報を提供する側」が同じインターフェースというのが(悪いとはいいませんが)少なくとも観光などの「業務」で使用するのには大変使いにくいと思います。

 4.セカイカメラは「アート」である。

   総じて言える事ですが、「芸術」と「技術」の違いみたいな感じです。

  秋葉原に「姉ヶ崎寧々参上!」のタグがあふれかえった話について、ネットのどこかに「これはもう立派なインスタレーションだ」と書かれていましたが、

  そういえば、2003年くらいにNiftyで、青山でPocket Looxを使って目標物を捜す、という同じようなイベントがあって(ミクロ楽団に参加してきた)  
  その時に、参加者はみんなパーティでかぶるような三角帽子をかぶせられて、青山の町を徘徊しました。

  主催者の話では『参加者が街を歩くことも含めてアートなのです』ということだったので、「あ~アートってこうなんだなぁ」と思ったのものですが、今回のセカイカメラでのクイズも、やっていることはあまり変わらないので、「セカイカメラ」ってやっぱりアート系なんじゃないかと思います。

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コメント

先日はiPhoneおさんぽコースに参加していただき
誠にありがとうございます。
色々とご迷惑をおかけしてしまい
申し訳ありませんでした。

今度またゆっくりと遊びに来てくださいね。
お待ちしております

投稿: ひだっちプロジェクト | 2009/11/06 12:16

 ひだっちプロジェクトさん、コメントありがとうございます。

 また、記事にもあるとおり、現地では大変お世話になり、本当にありがとうございました。

 うまく記事にできたかどうかわからないのですが、飛騨高山が素敵なのは、観光を支える皆さんの素晴らしさにもその理由があるのだなぁと感心しています。

 飛騨高山には、また是非伺いたいので、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。


 

投稿: 目篭 | 2009/11/07 00:12

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