南米アマゾンに行って本を買う
アマゾンで本を買う、それはごく日常的な事だ。だが違っているのは、ここが地球の裏側のアマゾンだということだ。
インターネットを使わずにアマゾンで本が買える、南米アマゾンに行って本を買ってきました。
アマゾンの、ど真中にある都市、マナウスについてもご紹介。久しぶりに女の子満載の記事です。
アマゾンの中心都市マナウス
アマゾン川はブラジル国土を真横に横断している巨大な川です。アマゾン川流域を「アマゾナス地方」と呼びますが、その中心がアマゾナス州の州都マナウス。アマゾンのど真ん中にあります。
成田からアメリカ・アトランタ乗換のデルタ航空便が出ていて、この直行便を使うと、行きは20時間ちょっとでマナウスに着くので、アトランタ経由でアメリカ国内の都市に行くのと似たような時間です。
マナウスは大都会
アマゾンのど真ん中にあるマナウスですが、実は大都会です。人口150万人と言いますから、これは私の故郷神戸市と同じぐらいの人口です。
写真は高台から見たマナウスの街の一角。高層ビルが立ち並んでいるのがわかります。
3連節バス
どれぐらい大都会かというと、たとえばこんなものが。
マナウスには鉄道がないので、替わりにバスが発達しています。バスの駅が鉄道の駅みたいなプラットフォームになっていて、鉄道の駅なみに大規模だったりしますが、バス自身もこんな風に巨大化して鉄道に近づいています。
日本も幕張などに2連節バスがありますが、まだ3連節はなかったと思います。
さすがアマゾン、先進の技術です。って、えっ?
選挙は電子投票
進んでいる、といえばこんなものもあります。
ちょうど、マナウスは選挙戦の真っ最中でした。ポスターには候補者の写真と名前の他に必ずデカデカと数字が書かれています。
実は選挙は「電子投票」で、その候補者の数字を入れると候補者の名前と顔写真が出てきて、それを確認することで投票が完了します。
アマゾンだから電子投票なんて当たり前、かもしれませんが、ここはAmazon.comではなく南米のアマゾンです。
マナウスが栄えたのは
マナウスがこれだけ栄えたのは、19世紀にアマゾンで取れたゴムを海外に輸出するための集散地だったからです。
写真の建物は、当時、世界中からよりすぐりの資材を船でマナウスに運んで作られた「アマゾナス劇場」。外から見える丸ドームの色タイルはフランス・アルザス地方のものだそうです。その他の建設資材もほとんどがヨーロッパから運んだもの。
まあ、ニシン漁で盛大に儲かっていた時に建った、北海道のニシン御殿みたいなものでしょうか。
アマゾナス劇場内部
何しろ、中へ入ると、これですから。アマゾンの真ん中とは思えませんよね。
これはもちろん絵葉書をコピーしたとかではなく、自分で撮った写真です。ここまでくると誰が撮っても絢爛豪華。オーケストラはたまたま練習をしていたところでした。
大きなショッピングセンターもあります。
そんなわけで、マナウスには、当然ですが大きなショッピングセンターもあり、紀伊国屋やジュンク堂みたいな大きな書店も入っています。そこで本を買おうとしたのですが...。
大きな書店は撮影禁止
「すみませんが、店内の撮影は禁止です」と言われてしまいました。
本を買うことはできますが、撮影ができなくては記事にならないので、早々に退散。
ちなみに、ほとんどの本がポルトガル語(ブラジル語)で、日本の本はありませんでした。
アマゾンでは、日本語の本は買えないのです。
ただし、わずかにアメコミなどと同じ場所に、日本のコミックのポルトガル語訳がありました。あったのは、
・エルフィンリート・エウレカセブン・オトメン・NARUTO・BLEACH・ネギま!
でした。シリーズではなく、雑誌のように最新刊だけの販売です。
町の本屋さんに行く
で、町の本屋さんに行ってみます。
アマゾンにはアマゾンの本が..
.こちらは撮影OK。入ったところに大きな平台が2つあって、左側が売れ筋の本、右側(写真)がアマゾンに関する本でした。日本でも観光地の駅前などで本屋に入ると、その土地の観光案内のコーナーがあったりしますよね。アマゾンにはアマゾンの本が多いのです。
ベストセラーは掲示されていますが.....
記念に、一番売れている本でも買おうかと思ったのですが、写真のように売れ筋ベスト10は掲示されているものの、全部ポルトガル語なので、一体どんな本なのか想像もつきません。題名だけをたよりに店中を探すのも大変です。
アマゾンのフィクション1位はこんな本
とりあえず、フィクション部門第一位の「A CABANA」という本のありかをお店の人に聞きます。実際の本を見ると、著者名と表紙の絵から、
・神の小屋 The SHACK ウイリアム・ポール・ヤング
だとわかります(って、実はあとでgoogle検索したのです)が、英語表記とも全然ちがうので、題名だけでは全くわかりません。
全米でのベストセラーで、日本でもそこそこ評判だったようですが(実は読んでいません)2008年出版の本なのに、なぜ今頃..と思いましたが、この本の奥付をみると2010年になっていますので、おそらく今、ポルトガル語の翻訳が出版されたところで、売れているのでしょう。
俳句の本 satori
日本語の本はこの店にも全くありませんでしたが、日本の俳句をポルトガル語(ブラジル語)に翻訳して紹介している本がありました。写真がその一部ですが、本の題名は「satori」(悟り)。
親切に教えてくれた人が実は....
さきほどから、ガイドさんが前述の「A CABANA」の内容について、「どんな本ですか」と尋ねていた相手の人がいたのですが、なんとその人が他ならぬ「satori」の著者でした。
サイン会ではないですが、本の紹介のために来ていたみたいで、お店の人ではありません。それにしては「この本はね...」と一生懸命教えていただいたので、気がつきませんでした。
だって、座っている机の上に「A CABANA」が積んであったりするんだもの、間違えますよね、と言い訳(^^;)。
でも、本当に親切に教えていただいて、ありがとうございました。写真がご本人で、手に持っている本が「satori」。
アマゾンで本を買います
お待たせしました。いよいよ、アマゾンで本を買います。さきほどの「A CABANA」と「satori」を買いました。
南米のアマゾンで買うメリットは、お金を払うと現物がその場で手に入ることです。さすがにこれだけはAmazon.comに真似ができないところでしょう。
ノンフィクション第一位は
ところで、ノンフィクション第一位は「COMER REZAR E AMER」という本でした(写真)。これは、日本でも最近文庫が出てベストセラー中の
・食べて、祈って、恋をして エリザベス ギルバート
でしたが、こちらは表紙も日本のものとは全く違うので、手掛かりは著者名だけでした。
写真の女性は、インフォメーションの人だったのですが、てっきり会計の人だと思って、「A CABANA」や「satori」を並べて持ってもらったり、お金払う所を写真に撮ろうとしたりしたのですが、全部応じてくれて、いろいろポーズとかしてくれたので、これもなかなか気がつきませんでした。
アマゾンの人たちはノリがいいんです。
撮って、撮って!
ノリがいいと言えば、アマゾン河を下っていると、河原で釣りや水遊びをしている人たちが必ず手を振ってくれます。
ある時、写真を撮ろうとしたのですが、船が速すぎてうまく撮れないので、あきらめてしまいました。すると、隣の人が「おい、ポーズ取ってるぜ」。見ると「撮って、撮って」とポーズをしているのでした。あわててカメラを向けましたが、船が速いのでピンボケなのと、タイミングがずれてしまってポーズしている所もとれませんでしたが、せっかくなので、失敗写真ですが載せておきます。
泥んこ遊び
こちらも「撮って、撮って」のパターン。
いつも日本で肖像権を気にして、恐る恐る「撮っていいですか」と聞きながら撮影している身からすると、アマゾンは天国です。
写真は土産物屋の船着き場で遊んでいた子供たちです。川べりで泥んこ遊びをしていた後なので、ご覧のとおり。
でも、大丈夫
そんなに泥んこになって大丈夫かと思いますが、水に飛び込んで泳げば、すぐにきれいになるので、問題はありません。
あなどれない
水から上がれば、ほら、ご覧の通り。
この子は、前の写真で、水の中でピースサイン出してた子です。(その前の写真では一番右側)あなどれないでしょ(って、なにが?)
アマゾンの人はスタイルがよく、普通に撮っただけでグラビア写真みたいになるので、いっぱしの写真家気どりになれます。
「アマゾンで本を買う」は林編集長の秘蔵ネタ
さて、この記事の冒頭の写真は、アマゾンで、林雄司さんの本「やぎの目絵日記」を買っているところ(のつもり)です。
もう、おわかりでしょう。これは実際に本を買っているのではなく、お金を渡して、本を持ってもらっているところ、つまりヤラセでした。ここでも物売りの女の子が気軽に引き受けてくれました。
実は「アマゾンで本を買う」というのは、私が投稿している先、デイリーポータルZの編集長である林雄司さんが、ずっと以前から「やりたい」と言われていた秘蔵ネタです。
今回、この記事を書くにあたって、一応デイリーのイベントで林さんに「アマゾンで本、買ってもいいですか」と了解はいただいたのですが、申し訳ないので「アマゾンで買う本は林さんの本にしよう」と密かに決めていました。
しかし、アマゾンの書店では日本の本を扱っていないことがわかり、事前注文もできなかったので、仕方なく本だけ日本から持って行っていたのです。
結果的にヤラセになってしまったのですが、林さんは許してくれるでしょうか。
アマゾン川の合流点
物売りの女の子の背景左上の方で、川の色が2つになっているのがわかるでしょうか。
実はこの場所でネグロ川とソリモエス川という2つの川が合わさってアマゾン河になるのですが、両方の川の速度と水の温度が違うため、川の水は合流点から数十キロメートルも混じりあわないまま流れます。黒い方がネグロ川、茶色がソリモエス川。
ここは観光名所なので、彼女たちのような物売りが船でやってくるわけです。
アマゾンで本を買うと
というわけで、いろいろな事がありましたが無事アマゾンで本は買えました。
簡単におさらいをしておくと、
・アマゾンでは日本語の本は買えない。
・アマゾンにはアマゾンの本が多い。
・お金を払うと現物がその場で手に入る。
ちなみに、現地の日本人の方に、「では日本語の本を買いたい時は、どうされてますか」と伺ったところ、
「Amazon.co.jpに注文してますよ」
と言われてしまいました。
※写真は、密かに記念に買ってしまった、エウレカセブン・ポルトガル語版のレシート。
アニメ系は知的財産権がうるさいので、表紙ではなくレシートを掲載。「アマゾンで本を買ったレシート」ですね。
アマゾンの人々の優しさに包まれて
今回、「アマゾンで本を買う」というネタのために、たくさんの人が協力してくれました。
アマゾンの人は「ノリがいい」と書きましたが、つまり、とてもピュアで、フレンドリーです。
日本の人々も昔はこうだったような気がしますが、いつから変わってしまったのでしょうか。
大きな書店は世界的なチェーンの店だったので、「撮影禁止」はマニュアル通りだったのでしょう。日本もアメリカから「成果主義」やら「自己実現」やらという思想が入ってくるようになって、自分を守り、他人を警戒するようになったのかもしれません。
ブラジルは「危険」というイメージがありますが、ここマナウスではスリや置き引きはいままでほとんどなかったそうです。最近になって他の都会からの人口流入等のために必ずしも安全とは言えなくなってきたそうで、この9月に領事館から注意喚起がでてしまい、大変残念なことだと思います。
写真は、アマゾン・マイナンロッジ名物の「美人な女」です(Tシャツにそう書いてあるから)。
ちなみに、この記事を読んで「こんなの、わたしの思っているアマゾンじゃない!」と思われた方、マナウスからほんの1~2時間くらい行くだけで、そこはもうジャングルです。
ご興味のある方は 「南米アマゾン・マイナンロッジツアー~続・南米アマゾンへ行って本を買う~」をお読みください。あなたの思い描いているアマゾンが満載です(^^)。
<2012.05.22追記>
現地で大変お世話になった日本人ガイドの野沢さんから久しぶりにmailをいただきました。
それによると、アマゾンは今、1日に5センチくらい増水していて、泥んこ遊びをしている子供たちを撮った川岸は、今では水深10mの水の底だそうです。
今はボートで水中林の周遊が楽しめるとのことです。
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コメント
いいblogですね
読んでしまいました
ありがとう
投稿: BLEACH BL 画像 | 2010/10/08 15:20
BLEACH BL 画像さん、こちらこそありがとうございます。
BLEACH関係の方なんですね。
特撮はともかく、アニメやコミック関係はあまり詳しくなく、単にそこに売っていたたものをメモっただけなので、そちらの方面にはあまりお役に立てずすみません。
畑正憲のムツゴロウシリーズの中の私の好きな話に「タヌキのマリ」というのがあって、
マリア・マリという踊り子が、決して踊りを見に来たわけではない客に向かって「踊り」を魅せていた、という話なんですが、
分野はちがいますが、いつか自分もそうありたいと願ってきました。
このブログを読もうとして来られたのではなく、恐らくBLEACHを検索して来られたのであろう方に、このようなお褒めの言葉をいただけたことは、本当に嬉しい事です。
繰り返しになりますが、こちらこそありがとうございました。
投稿: 目篭 | 2010/10/09 01:06