これが民間宇宙旅行専用の宇宙港だ!
飛行機に乗る所は『空港』、では宇宙旅行をするために宇宙船に乗る所はどこ?
ここからみんなが宇宙に行けるという『宇宙港』、「スペースポート・アメリカ」が完成しました。世界で始めての民間宇宙船スペースシップツー(SpaceShipTwo)で、宇宙旅行に行くための基地です。
もちろんスペースシップツーも登場。そして今回のサプライズは、なんとあの人が、あんなことを.....。
民間宇宙開発と宇宙旅行の最前線。ぜひ続き(本文)をお読みください。
※写真はスペースポート・アメリカのターミナルビルを正面から見た所。
スペースポートアメリカはニューメキシコ州
スペースポートアメリカは、アメリカのニューメキシコ州にあります。滑走路はニューメキシコ州が作り、これは昨年完成していたのですが、ターミナルビル等の建物は、宇宙船の運営者であるヴァージンギャラクティック社が作っていて、これが今回ほぼ完成したということで、宇宙港としてのお披露目があったわけです。
(目篭は宇宙に行く人ではありませんが、前回同様お披露目には潜入することができました。)
※写真はターミナルビルを正面少し左から撮ったもの、左手の茶色い部分が宇宙船の格納庫で、ターミナル自身は更に左側に長く伸びています。
宇宙船スペースシップツー
そしてこの写真にあるのが、みんなを乗せて宇宙に行く船、スペースシップツー(SpaceShipTwo)と、それを上空まで運んで発射するホワイトナイトツー(WhiteKnightTwo)です。3つある頭のうち、真ん中がスペースシップツー。両側がホワイトナイトツーです。
本来は、前の写真の茶色い部分(格納庫)の中に格納されているはずですが、今回はイベントで格納庫を使っているので、外に泊めてありました。
発進です。
ちょっとしたミスで、離陸時の動画を撮り損なってしまいました。今回は宇宙港がメインということで、お許しください。写真は離陸直前のもの。
なお、わたしのチョンボで動画が撮れなかっただけで、ホワイトナイトツー(外側だけ)の形では75回、スペースシップツーを搭載した写真の形では30回の飛行(注)がすでに行われており、今回もちゃんと飛んでいました。
飛行中
で、これが飛行中の写真。宇宙に行くときは、真ん中のスペースシップツー(SpaceShipTwo)を空中発射するのですが、今回のデモ飛行ではこれはありません。
現時点のスペースシップツーにはまだロケットエンジンが搭載されていないのです。
これからロケットエンジンを搭載して、充分テスト飛行を行った後、宇宙旅行の開始になります。ではそれはいつごろか、と言う話はこの記事の最後に。
式典は格納庫で
格納庫を2つに仕切った半分を使ってお披露目の式典が行われました。あとでわかりましたが、残りの半分には昼食が用意されていたのです。
式典は、前回のスペースシップツー完成披露の時と同様、主に、スペースポートアメリカの建設に功績のあった人たちを紹介していくものでしたが、前回のスペシャルゲストがシュワルツネッガーカリフォルニア州知事だったとすれば、今回はこの人。ニューメキシコ州のスザンヌ・マルチネズ知事(注)です。美人ですね。
ニューメキシコ州では、住民投票を行い、その結果、建設費用を税金に上乗せしてスペースポートアメリカを作りました。
しかし、最近、知事が宇宙推進派の知事から彼女に変わり、スペースポートアメリカに対する支援に不安を持つ声もありました。
今回のイベントで彼女は、最初のスペースシップツー発進の司会をヴァージンギャラクティックのリチャード・ブランソン会長と一緒にやるなど、息の合ったところをアピール。みんなもほっと一安心、というところです。
天井を見ましょう
式典が行われているのは、格納庫なので、天井を見るとターミナルビルの構造がわかります。真ん中に渡されている梁のようなものの、真ん中が大きく膨らんでいるのがわかるでしょうか。実はこの中が、外からターミナルに入ってくる人たちのエントランスになっています。このリンク先の記事の絵で、ターミナルの上に切込みがあり真ん中が丸くなっているのがそのエントランスで、上の写真のふくらみの部分が丸い部分にあたります。
これがターミナルの入り口
これはターミナルビルの真後ろから撮ったもの。バスの中から撮ったので、変な反射が入っていますが、真ん中の黒い部分が入り口で、さっき格納庫から見えた梁のような部分の内側に続いています。
横から見ると
斜め横、後ろ側からみるとこんな感じです。ビルの後ろに土盛りが長く続いています。ターミナルビルが茶色いのは、土盛りとの一体感のためでしょう。
乗客は写真左の坂を上り、格納庫の上のエントランスを通るわけです。
その後どこへ続くかというと
で、乗客はその後どこにいくかというと、このように、壁の向こう側にある、正面のガラス張りの3階に着きます。このあたりはこのリンク先の絵と一緒に見るとわかりやすいです。
そこからおそらくガラス張りの2階に降り、そこが出発ロビーだと思われます。なぜなら、写真の2階部分にあるのがたぶん搭乗ゲートで、ここから空港によくある蛇腹かなんかで、格納庫にあるスペースシップツーに乗り込むのだと思います。
ガラス張りの内部
これがそのガラス張りの内部。写真は主に1階部分ですが、写真左上にある囲まれた部分の中が、前述の2F出発ロビーだと思われます。
冒頭の写真でおわかりのように、ガラス部分は外の光を強く反射するようにできているので、中を撮るのは結構難しかったです。
内装がまだ完成していないのは、今から内装を作ってしまうと、宇宙旅行が始まった時にはもう汚れてしまっている可能性があるので、おそらく開始直前に内装が行われるのでしょう。
次なる出し物は..
式典と昼食が終り、次の出し物は、外で行われるらしい、というので皆が待っていると、ガラス部分3階のテラス部分から、ロッククライミングのように紐を下ろして、壁面と紐を使ったパフォーマンスが行われました。
でも、あれ?、真ん中の人は、ひょっとして....
ブランソン会長の空中遊泳
そう。みんなを宇宙に連れて行ってくれる宇宙船やこの宇宙港を作った総元締め、大富豪として有名な、ヴァージンギヤラクティック社のリチャード・ブランソン会長じゃないですか!
いくら空中遊泳がしたかったからといって、この会社の秘書や総務担当者は心臓がいくつあっても足りませんね。
シャンパンも空中で抜く
このあと、ブランソン会長は、上から降りてきたお祝いのシャンパンを空中で抜く、というパフォーマンスを。
いやはや、さすが、みんな高い所や空中が大好きな人ばかりの集まりだけのことはあります。
日本人宇宙旅行者その1(喜久川さん、宮本さん)
スペースポートアメリカでのイベントは終わりましたが、パーティは夜も続きます。
このあたりで、例によって、今回のイベントに参加しておられた「宇宙旅行に行く日本人」の方々をご紹介しましょう。
写真中央でヴァージン宇宙旅行の日本総代理店クラブツーリズムの浅川さん(左)と談笑しているのが、喜久川さん(右)。
喜久川さんは、「世界中のすべての国」に行かれているそうで、新しくできた国、南スーダンにも近々行かれるそうです。奥様は「スタンプラリーみたいなものですよ」とおっしゃっていましたが、それで、次は「宇宙」ということに。
写真右下の宮本さんは、もともと空中遊泳がしたかったのだそうで、ダイビングを十数年やっていたそうですが、南極旅行の帰りにパンフレットを渡されたのがきっかけで宇宙旅行があるのを知ったそうです。
日本人宇宙旅行者その2(甲村さん、佐光さん)
ここからは、 当ブログではすでにおなじみの皆さん。甲村さん(右)と佐光さん(左)
甲村さんは現役時代から気球に乗るのが趣味で、退職してからは飛行機にも乗っておられます。つまり高い所が好きな方です。
佐光さんは、ガガーリンが始めて宇宙に行った時の「地球は青かった」と言うのを聞いて、「いつか自分で確かめに行かなくちゃ」と思った、それからずっとだったとの事で、宇宙旅行希望者の元祖みたいな方です。
日本人宇宙旅行者その3(稲波さん)
さて、こちらもマスコミやイベント等で大変有名な稲波紀明さん。稲波さんは、スペースシップツーで宇宙に行く最初の100人の中の一人です。他の人はその後で、クラブツーリズムの日本人専用貸切機で行きます。(今回この記事での紹介順は順不同で、宇宙に行く順番ではありません)
ちなみに、左側の人は佐光さんのお嬢様です。今回参加したメンバーの記念写真なので誤解のないように(^^)。
日本人宇宙旅行者その4(山本さん)
そして、今回ご紹介する日本人宇宙旅行者の最後は山本さん(左)。
山本さんは、世界中の珍しい所に行ってわくわくするのが大好きな方。北極点や南極点に行って逆立ち(地球を支える)したり、最近では海に沈む国ツバルを訪れたりされています。
ブランソン会長(右)との記念写真を山本さんご自身からお借りしました。
(この写真のみ、目篭が撮影したものではありません。)
ところで、背景にちょっと映っている車は、アストンマーチンのスーパーカー。
宇宙旅行の費用(今のレートで1500万円ぐらい)が払えるお金持ちがたくさん来る集まり、だということで、夜のパーティのスポンサーはアストンマーチンでした。
ブランソン会長はどう言ったか
記念写真だけではなく、みんなで「スペースシップツーはいつ宇宙に行くんですか、宇宙旅行はいつ始まるんですか?」とブランソン会長に聞きました。
答えは「1年後」
いろいろな人から「いつまでたっても飛ばない、始まらない」というお問い合わせをいただくのですが、そういう方は是非、当ブログの記事、
アメリカ民間宇宙開発最新事情 2008STSJツアー報告(その1)
の 「モハベ空港管理局 Tom Weil氏の話」の項をお読みください。(記事を書いた時2008年から、この部分は一切変更していません)
この話を聞いた当時は、私も半信半疑だったのですが、後でよく考えてみると、スペースシップツーのテストを行うのはモハベ空港であり、その検査の責任者が、スケジュールの予定もなしに検査を開始するはずがありません。
してみると、ヴァージンギャラクティックの商売上の口上はともかくとして、つまり検査は当初のスケジュールどおりに進んでいると考えられ、結局はこの時に聞いたとおり、宇宙旅行は「早くて2012年、遅ければ2013年」に開始される、と考えるのが妥当ではないかと私は思います。
※写真は参加者登録をするホテルにあった、今回のお披露目のタイトル。訳すと「新しい夜明けへの鍵」でしょうか。
(注)の部分はクラブツーリズムの情報により修正。2011.10.19 23:25日本時間
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コメント
う~ん。やっぱり凄い目篭さん!!!!!改めて感動です。詳しく、分かり易く有難うございます。 旅行中有難うございました。お疲れ様でした。この貴重な情報、二機目のチャーター機に予約された、ご婦人にお知らせしますね。有難う。
投稿: 山本美知子 | 2011/10/25 17:51
山本さん、コメントありがとうございます。
(記事をお読みの皆さん、上記のコメント主は記事に登場されている宇宙旅行者の山本さんです)
こちらこそ、旅行中は(いや、いつもですが)大変お世話になり、ありがとうございました。
二機目に乗られるご婦人に、是非今度は私のブログにもご登場ください、とお伝えください。
今後ともなにとぞよろしくお願いします。
投稿: 目篭 | 2011/10/26 01:57
行きたいこともない
投稿: | 2012/08/06 22:18
「スペースポートからロズウェルまで移動手段」という検索をいただきました。
スペースポートアメリカを訪れたのは、バージンギャラクティックの送迎バスだったのですが、宿泊はラス・クルーセスでした。
そして、ラスクルーセスから、ロズウェルまでは、グレイハウンドのバスで行けます。
「ロズウエルのUFO祭り」という記事
http://bit.ly/15omVeq
の中で「ロズウェルに行ったのは2度目」と書いていますが、実は1回目はまさにこの、ラスクルーセスからグレイハウンドで行ったのです。
確か1日2便くらいしかないので、時間には充分余裕を持って行動しないと置いてけぼりになってしまいますが、朝出て、ロズウェルに着いてからUFO博物館と周辺の土産物屋を巡って、夜にラス・クルーセスに戻るのは、朝が早いのが難点ですが、現地ではまずまずの時間はあります。
グレイハウンドのバスディーポからUFO博物館までは、30分くらい歩いたでしょうか。
前述の記事にもあるように、ロズウェルには公共交通機関がないので歩くしかないですが、UFOフェスティバルの時以外ならUFO博物館周辺だけしか見る所はありませんから、これで充分でしょう。
ところで、検索だけされても、検索した人がもう一度この記事を見るかどうかわからないので、対応のしようがありません。
そもそも「ロズウェルとスペースポートアメリカ両方に行った日本人」なんて、居ても数人だと思うし、ネットにその両方の記事を書いているのは私ぐらいしか居ないと思います。
だったら、私に聞けばいいじゃないですか!
プロフィールにはメールアドレスも書いていますが、メールがイヤならコメントしてくれればいい。検索だけして「載ってねぇや」とか言って斜に構えるのではなく、聞けば済む話です。本当に面白い事は、一歩踏み込まなければ決して体験できませんよ。
投稿: 目篭 | 2015/07/16 09:47
【追記】
記事中、宇宙旅行の開始が2012年、又は2013年と言っていますが、それが大幅に延びたのは、テスト中に事故、それも人身事故があったからで、それはさすがにモハべ空港のテスト責任者でも予想のつかない話です。あくまで予想外のトラブルがなかった時の想定スケジュールの話でした。それでも当時ブランソン氏が言っていた時期よりは遅かったという話です。
投稿: 目篭 | 2021/05/06 19:33