ロケットランチ2013
Little Bucky Jones
Little Bucky Jones は Pemberton Technologies社製のキットです。「Bucky Jones」というのはアメリカンコミックスの登場人物らしいんですが、説明を何度読んでも良くわからない。
まあ、とにかく古き良き時代のSFに登場するようなロケットってことですね。日本人としては「マグマ大使」のロケット形態に近い感じもします。
ところで、このキット、マニュアルが13ページもあるのに、肝心のところの写真がほとんどない。しかも英語がネイティブのジョークばっかりで、たとえば、
「あなたはそれらの線に、ボブとかサリーとかジュニアとかいう名前をつけてもいいが、私はそれらを、垂直翼、翼、ランチラグ(を付けるための線)、と呼ぶことをお勧めする」 とか
「説明書を読まなかった結果(事故を起こして)、頑固なお母さんが怒っても、当社は感知しません」 とか
こっちは一生懸命英語を訳したら、実はギャグだった、という、別の意味で大変疲れるキットでした。
エンジンはダクトテープで止めろ
それで、こいつはエンジンをエンジンフックではなく、「ダクトテープで巻いて止めろ」って書いてあるんですね。なんか、初代ウルトラマンの手袋(継ぎ目が見えないように着るたびにテープで巻いて銀スプレーで着色した)みたいな感じ。
「キチガイじみているかもしれないが、それが一番なんだ」という話が延々と2ページぐらい書いてある。
でも、そんな恐ろしいことは出来ないので、よく読んでみると「いろいろな口径のエンジンを使えるようにする為」にそう言っているらしい。
だったら、エンジンアダプターを使えばいいじゃん、ということで、この部分は改造です。
初代のしモデルロケットちゃんに使ったEggsCaliberの部品を流用。
これでごく普通のモデルロケットと同じ扱いができるようになりました。
尾部排気管群
言い忘れていましたが、Little Bucky Jonesの特徴は、金色の胴体と特徴ある翼の形状、そして、一つ上の写真にもちょっと写っている最後部の排気管群(Exhaust Tubes)です。
この排気管群がレトロっぽさをよく出していると思います。
発射準備完了
発射台に装着したところです。
発射の瞬間の高速度撮影
発射の瞬間を高速度撮影しています。カメラはCASIO EXILIM EX-FH100、240FPSなので、約1/8の速度というわけです。 高速度撮影ですので、音声はありません。
ごく普通のデジカメに高速度撮影機能を持たせたものなので、高速度撮影にすると、画像が荒くなるのはご容赦ください。全画面表示にしない方がきれいです。
打上げ1回目から3回目の発射の瞬間を一つの動画にまとめました。
打上げと着地(広角 通常映像)
打上げと着地の映像です。通常速度で引きで撮ったもの。打上げ後しばらくすると右側から降りてきて着地します。これは2回目打上げ時の映像。
ロケットランチ会場の「秋ケ瀬公園」は実は意外と狭く、以前にも「のしモデルロケットちゃん(初代)」をロストした経験があるので、今回はエンジン出力をわざと絞って、高度を下げ、ロストを防いでいます。
具体的には、Little Bucky Jones はエンジンC6-3以上が推奨なのですが、今回はB6-4で打っています。
(この動画の画質が悪いのは、トリミングに使ったソフトの4:3出力に高解像度のものがなかったからです。なので、やはり全画面では見ないほうが賢明です。なぜトリミングしたかというのは大人の事情で...。)
開傘後の様子(静止画)
上の動画から切り出した、開傘後の様子です。自分で打上げていると追尾ができないので、開傘の瞬間が撮れないのが泣き所ですが、今回はうまく固定カメラの視野内に入ってきてくれたので、開傘後の様子を見ることができました。
着地の様子(静止画)
着地後の様子です。翼端がとがっていて地面に突き刺さるので直立しそうになるのと、風が強いので、パラシュートがまだ引っ張ろうとしています。これも確か2回目の打上げの写真ですが、Little Bucky Jones は3回打上げて3回とも、打上げ・開傘・回収すべて成功しています。
JETLINER
で、問題はもう一つのロケット、ESTES社のキット、JETLINER(写真)です。
このロケット、こんな格好していますが、ロケットなので、真上に上がってパラシュートで降りてくるだけです。
何が問題かというと、このキットの指定エンジンは A10-3T だけなのですが、日本モデルロケット協会が正規に輸入しているエンジンの中には、このA10-3Tがないんです。
そこで仕方なく、A3-4Tで打ったのですが、到達高度がかなり低い状態で、延時時間が1秒長いのは致命的で、パラシュートが開いた時にはもう地上スレスレになっていて、硬着陸、機体大破ということになりました。
発射準備完了(JETLINER)
不思議なことに、高速度撮影カメラが、この打上げに限って、途中で止まっていました。また、発射台の写真を撮り忘れていました。運命の予兆だったのでしょうか。
なので、写真は途中で止まった動画からの切り出しです。
大破
これが一回目の硬着陸。パラシュートが開かず、地面に激突して、ノーズコーンが左右に割れ、中に詰めていたクレー(粘土)が飛び出しています。(この粘土を拾うのを忘れていて、後で後悔するハメになりました)
ノーズコーンとリカバリーワディングなどの位置から考えて、恐らく地面に激突した後で、ワディングやパラシュートの放出が行われたのではないかと思われます。
ちなみに、私はモデルロケットを始めてから、ロストはありましたが、不開傘や墜落は今まで一度もなく、それが密かな自慢でした。
アートロケットは速度や高度にはこだわらないので、それらの要素はあまり気にせず、とにかく、「確実に打上げ・回収を成功させること」だけに注意してきた、というか、「必ず成功する素材だけを使って打ってきた」とも言えるわけですが、それだけに今回のことは、該当するエンジンがなかったからとはいえ、大変残念です。
応急修理後、発射の瞬間
遠景なので目立ちませんが、これはノーズコーンをいびつなまま無理やり接着剤で止めて打った、2回目の映像です。
実は、前述のように、ノーズコーンに詰めるクレー(粘土)のことをすっかり忘れていて、空っぽのまま打っているので、後の映像もそうですが、空力と重心の関係が無茶苦茶でフラフラしています。ノーズコーンも無理やりくっつけていびつになっているので、そのせいもあるかもしれません。
どれぐらい低空で放出しているか
前述のように、空中姿勢等は無茶苦茶になっていますが、それでもどれだけ低い高度で放出が行われているかということはおおよそわかります。
放出の瞬間
映像上では、先頭から8秒と23フレームの所で放出が行われているように見えます。
(写真の矢印)もうほとんど地面の直前です。
延時時間が1秒短いとすると
仮にエンジンの延時時間が原因だとすると、A10-3Tの延時時間は3秒、A3-4Tは4秒ですから、A10-3Tでは1秒早く放出される計算になります。
そこで映像上で1秒前(7秒と:24フレーム)にさかのぼってみると、それでもかなり低いですが、確かに、まあ何とか開傘・着地できそうな高度ではあります。
緒元
最後に緒元をまとめておきます。
イベント :ロケットランチ2013
主催 :日本モデルロケット協会
日時 :平成25年7月6日(土)
打上場所 :埼玉県さいたま市 秋ケ瀬公園トリム広場
1.機種 :Little Bucky Jones
エンジン:B6-4(3回とも)
2.機種 :JETLINER
エンジン :A3-4T(2回とも)
最後に、ロケットランチの運営を行われた日本モデルロケット協会の皆様、および参加者の皆様、大変お世話になりました。おかげさまで、楽しい打ち上げが出来ました。
ありがとうございました。
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コメント
地上でパラシュートテスターで空気圧出射出してパラシュートが確実に放出、展開テストをすることです
油粘土はサランラップで包んで、Gクリヤボンドで機体に取り付けて外れないにしています
投稿: 29mmRMS愛好家 | 2013年8月26日 (月) 13時17分
29mmRMS愛好家さん、コメントありがとうございます。
記事にも書いたとおり、パラシュートの展開が間に合わなかったのは、圧が足らなかった為ではなく、本来のエンジンが入手できず、別のエンジンを使った為、高度が低い上延時時間が長くなり、地上に着くまでには放出が行われなかったことによるものです。
2回目の映像をご覧になるとわかるとおり、異常に低い高度ではありますが、放出自身は正常に行われています。できれば記事を良く読んでからコメントをいただけると幸いです。
あと、粘土が外へ出てしまったのは、地面に激突してノーズコーンが割れた事によります。
JETLINERでノーズコーンの粘土を入れる口は非常に小さく、そこから粘土を押し込んで棒で押す形なので、ノーズコーンが破壊されない限り粘土が外に出る事はまずありません。
投稿: 目篭 | 2013年9月 8日 (日) 11時18分